築10年のマンション価格の値下がり率は?売却価格の相場や売れる特徴を解説

築10年のマンションは新築時からどれくらい下落するのでしょうか?また、築10年のマンションはどのようにすれば高額で売れるのでしょうか?

マンションを良いタイミングで売却するためには、売れるマンションの特徴や売れ行きを左右する要因を知ることが重要です。

この記事では、マンション売却相場の推移や築10年までのマンションが高額で売れる理由を解説し、売却する際の注意点にも触れています。

マンションの売却相場を自分で調べて、売却に良い時期を判断する方法が知りたい方はぜひ参考にしてください。

中古マンションの売却価格はどのように決まりますか?

取引事例・築年数・設備・部屋の状態などに、売却時期・ライバル物件数・などを考慮して決定します。

築10年の中古マンションを高く売るためのポイントは何ですか?

売却するタイミングと売却金額が適していて、部屋の印象が整然として清潔感があることです。

築10年のマンションの売却相場の推移

中古マンションは、2023年時点では築10年までに売却するのがおすすめです。

しかし、常にすべてのマンションが築10年にまでに売却すべきということではありません。

中古マンション価格は下記の要因によって変動するため、築年数だけではマンション価値を判断できないからです。

  • 直近の類似マンションの取引事例
  • 築年数に応じた価値の目減り具合
  • 築年数ごとの需要と供給のバランス
  • その時点でのエリアの人気度合い
  • 同じ時期に売却している競合物件の数
  • 新築・中古マンション価格相場の動向

築10年のマンションの中古マンション市場での位置づけや、高額で売れる要因について解説します。

築10年以降は下落率が11%を超える

「公益財団法人 東日本不動産流通機構」が発表した、2021年の1〜12月の首都圏マンションの調査結果によれば、中古マンション価格と築年数との関係は下のグラフのようになります。

築年数の経過とともに売却価格はなだらかに下落していきます。

引用:公益財団法人 東日本不動産流通機構

また、上のグラフの元となったデータを元に、中古マンションの築年数による価格の下落率を計算すると下表のようになります。築10年以降は下落率が11%を超えて大きくなっていきます。

築年数帯下落幅
0−5年〜6−10年9.75%
6−10年〜11−15年11.77%
11−15年〜16−20年4.11%
16−20年〜21−25年20.04%
21−25年〜26−30年39.27%
26−30年〜31− 年10.33%

引用:公益財団法人 東日本不動産流通機構 のデータから下落率を計算

ちなみに、11−15年〜16−20年が4.11%と低い下落率になっているのは、住宅ローン控除の特例がマンションに適用される築年数の要件が、築20年までと定められていたことが影響しています。

しかし、2022年には適用築年数の要件が緩和され、1982年以降に建築された新耐震基準のマンションまで対象が拡大しました。

そのため、住宅ローン控除を使ったマンション購入狙いの需要は築20年以降のマンションへと分散し、今後の下落率は4.11%から大きくなるものと予想されます。

いずれにしても、マンションは古くなるほど価格の下落率が大きくなるという傾向に変わりはありません。

エリアによってマンション売却相場が異なる

マンションでは、築年数による下落とは別に、エリアによって売却相場が大きく影響を受ける場合があります。

端的にいえば「人気エリア」ですが、おもに下記のような条件があります。

  • マンションから駅までが近い
  • 人気の学校区内にある
  • ランドマークのような有名マンション
  • 部屋からの眺望が良い
  • ステータスの高い地名や駅にある

例えば、渋谷区の代官山駅から徒歩2分にある1977年建築のマンションでは、約50㎡の3DKで5,000万円を超える取引が事例が2022年にあります。

マンションだけでなく不動産全般にいえますが、人気の高いエリアで供給数が極端に少ない場合には、築年数が古くても希少価値が突出した特別な相場になるのです。

築10年のマンションの売却相場を自分で調べる方法

築10年のマンションの売却相場を自分で調べる方法は、インターネットを使った下記の3つの方法があります。

  • 不動産ポータルサイト
  • レインズ・マーケット・インフォメーション
  • 土地総合情報システム

いずれも、パソコンとインターネット環境さえあれば、誰でも無料で24時間いつでも利用ができて便利です。

なお、各サイトの特徴や使い方およびURLについて詳しく解説した記事がありますので、併せて以下の記事をご覧ください。

【参考記事】

中古マンション売却や購入の相場価格を調べる|使いやすい優良サイト7選

築10年の中古マンションの売却相場はどのように変化しますか?

約20%下落し新築時の80%程度で、築年数が経過すればそこから下落率は大きくなります。

売却相場を自分で調べる方法はありますか?

不動産ポータルサイト、レインズ・マーケット・インフォメーション、土地総合情報システムの3つがあり、誰でも24時間無料で使用できます。

高額で売れる築10年のマンションの特徴とは

高額で売れる築10年のマンションは、築年数や劣化具合にもいくつかの特徴があります。

上昇トレンドにうまく乗っている

高額で売れるマンションは、上昇トレンドにうまく便乗しています。

例えば、昨今の中古マンション市場の大きな流れとして、新築マンションの価格上昇に伴って中古マンションの価格が上昇している点があります。

実際に新築で販売されてから徐々に値段が上がっている中古マンションは、特別な売却の工夫があるわけではなく、単に売却相場が上がっている時期だったというのも理由のひとつです。

良いタイミングで売りに出ている

中古マンションを高く売るには、タイミング(売却する時期)の選択が重要であり、次の2つを意識しておく必要があります。

  • 春の異動シーズンに入居できるマンション購買層の動きに合わせる
  • 同時期に売却しているライバル物件数が少ない時期を選んで売却する

それぞれのタイミングの選択理由について解説します。

まずは、春の異動シーズンに入居できるマンション購買層の動きに合わせるということです。

1年のうちでもっとも中古マンションが売れるのは、3月入居を見越した購買層が動く年明けから2月の時期です。

通常は、売買契約から残金決済までに約1か月とリフォームに1〜3週間を要するため、少なくとも2月中旬、できれば2月上旬には売買契約を済ませないと3月入居は間に合いません。

次に、同時期に売却しているライバル物件数が少ない時期を選んで売却するということです。

ライバル物件が多ければ、自ずとお得感が高い物件から先に売れていくため価格競争になりやすく、最悪の場合には相場より大きく下回る価格になることもあります。

つまり、春の異動シーズンに間に合う時期に売り出し、ライバル物件がひしめき合う時期を避けて少し早めに仕掛けるというタイミングが重要なのです。

好立地やクチコミが良いなど好条件

需要の高い人気マンションは、駅や商業施設や学校など、居住するうえで必要な生活施設が行動圏内に多くあるのが特徴です。

中古マンションは、すでにそのマンションで生活して感じた居住者の声がクチコミとしてネット上にたくさんあります。

生活施設の充実度以外にも交通の利便性や治安や地域のイベントなど、そのマンションに住みたくなようなクチコミによって需要が上がり、人気マンションになっていくのです。

現代の生活様式にマッチしている

新築や築浅でなくても、現代の生活スタイルに合った住宅設備がある程度揃っていれば、人気も需要も高くなり高額で取引されます。

昨今は、専有部の設備の充実度やグレードだけでなく、生活の質を求めるための共用スペースやサービス(ペット飼育可能・コンシェルジュ・フィットネスジム・24時間ゴミ捨て可能など)が、購入の決め手になることもあります。

買主に人気の付帯設備がある

ファミリー向けマンションに求める人気設備は下記のような設備です。

  • ピッキング対応キーやセキュリティ連動インターホン
  • 高速インターネット回線の整備
  • 対面キッチン・高機能の浴室・スロップシンク
  • ウォークインクローゼット・シューズクローク
  • 玄関ポーチ・アルコーブ

また、リモートワークで使える小さなスペースが確保できるなど、広さや間取りへの注目度が高くなったのはここ数年のトレンドといえるでしょう。

マンションを築10年以内に売却するメリット

築10年までのマンションは便利な設備が揃っている確率が高いうえに、価格は築浅ほど高くもないため安定した人気と需要で価格が安定しています。

また、市場にある中古マンションの平均築年数が上がっており、築10年までのマンションの希少性と需要は相対的に上がっています。

実際に成約率が高いというデータがある

実際に、築10年までの中古マンションは、下のグラフのように成約率が高いというデータがあります。

引用:公益財団法人 東日本不動産流通機構

2021年調査のデータ(上のグラフの黒線)によれば、新規登録成約率では築10年以内のマンション売却数は40%を超えて、もっとも高くなっているのが分かります。

ただし、築10年までのマンションの成約率が際だって高い要因としては、築年数が浅くて人気や需要が上がったことが要因です。

加えて、築年数が古いマンションの成約率の分母(登録数)が増えたことによる成約率の低下も関係しています。

ライフステージの変化まで長く使える

築10年のマンションなら、将来の大きなライフステージの変化まで長期間使えるのがメリットです。

例えば、5歳の子どもがいる35歳の夫婦が築10年のマンションを購入した場合、65歳で定年退職した時点では築40年です。

まず購入時ですが、多くの金融機関の標準的な基準でマンション購入に35年ローンを組むなら築12年がリミットであるため、長期ローンを組むなら築10年までのマンションは大変魅力的です。

そして将来、終の棲家としてコンパクトなマンションへ買い替える場合でも、築40年ならまだ価格次第で充分に需要がある築年数なのです。

リフォーム費用がかからない

築10年までのマンションを購入する買主のメリットは、高額になる大がかりなリフォームが要らないという点です。

リフォーム要らずで売買できる点は、売主にとっても売却にかかる経費が少額で済むというメリットになります。

ただし、内見者が見て購入しようと思わないほど印象が悪い破損・汚損があるなら、印象をよくするためにもある程度のリフォームやクリーニングが必要です。

大規模修繕工事がまだ少ない

国土交通省の「長期修繕計画標準様式(記載例 参考資料)」および「長期修繕計画作成ガイドライン:令和5年4月追補版」によれば、大規模修繕工事の目安期間は築12〜15年を適時とする工事が多いため、築10年のマンションではこれから大規模修繕工事が増加する時期です。

一般的に、大規模修繕工事予算に対して修繕積立金が不足する場合には、修繕積立金の増額もしくは臨時徴収があるため、大規模修繕の予定があるマンションは所有しないほうが良いという考え方もあります。

減税や優遇制度の適用時期が終わる

築10年のマンション(新築時に購入して10年所有)は下記の減税や優遇制度が終わる時期です。

  • 新築建物の固定資産税の減税は購入後5〜7年まで
  • 住宅ローン減税は購入後10〜13年まで
  • フラット35Sの金利引き下げ期間は購入後5〜10年
  • 品確法の瑕疵担保責任期間は新築購入後10年まで

築10年以内のマンション売却は、売主にとって有利な各種制度のメリットを享受し終わる時期であるため、売却するには良い時期といえます。

築10年のマンションを売却するときの注意点

人気や需要が高い築10年のマンションでも、売却する際にはいくつか注意点があります。

オーバーローンの状態では売れない

築年数が10年以内の築浅マンションが売却できない原因として「オーバーローン」があります。

オーバーローンとは売却金で住宅ローンが完済できない状態のことで、ローンを完済しなければ抵当権が抹消できないために、売却できない状態になります。

返済の不足分に自己資金を足して完済できれば良いのですが、自己資金が用意できなければ売却せず所有し続けるしかありません。

そのため、築10年以内のマンションを売却する場合には、まずマンションを相場価格で売却した場合にローンが完済できるかどうかを、不動産会社にシミュレーションしてもらうことが先決なのです。

売却価格の設定は慎重に行う

売却価格は不動産会社からの提案を参考にして決めますが、最終の決定権は売主にあります。

一般的には、売却相場(すぐに売れるであろう金額)に対象マンションの劣化状況や売り出し時期やライバル物件の動向などを加味した売却価格を、不動産会社が売主へ提案します。

売却価格は、売り出しの際には高額で売却できるかチャレンジする場合が多いものの、2〜3週間経っても反響が思わしくない場合には金額を下げます。

注意すべきは、不動産会社が提案する売却相場が実際の売却価格とかけ離れることは少ないため、チャレンジ価格で売り出した場合には、反応が悪いのにそのまま長期間続けないことです。

リフォームをすれば売れるとも限らない

リフォームをしたからといって売れ行きが格段に向上するわけではなく、あくまで「価格とのバランスにおいてお得感が高い」なら売れやすくなるという感覚です。

なお、リフォームにかかった実費を上乗せした高額の売却価格では売れる見込みは低いため、リフォーム費用を回収するつもりで行うのはおすすめしません。

また、購入後のリフォームやDIYが買主の楽しみであることも多いため、好みではないリフォームが施されている場合には売れ行きが悪くなる場合があります。

売却時期を遅らせるべき場合もある

マンションを売りたいと思っても、高く売れない時期やお得ではない時期と重なる場合には、売り出し時期を遅らせるべきです。

例えば、下記のような状況なら時期を遅らせるべきでしょう。

  • ライバル物件がたくさん売りに出て値下げ競争をしている
  • かなり安い価格で成約した事例が出て相場が大きく崩れた
  • 想定より少しでも安く成約すればオーバーローン状態になる
  • 新築建物の品確法の瑕疵担保期間10年を使い切っておきたい
  • 売却益が大きいため低率の長期譲渡所得になるのを待ちたい

ただし、再販売時期を決める判断は、相場の変化やライバル物件の動向から不動産会社が示す見解やアドバイスを参考にしてください。

まとめ・マンションは築10年以内の売却がひとつの目安

築年数が経てばマンション価格は下がりますが、それ以外でも価格に影響を及ぼす要因をたくさんご紹介しました。

マンションを売却するなら築10年以内がひとつの目安になりますが、このまま中古マンション相場の上昇が続くなら、築10年以内のマンションは今まさに売却するのに適した時期だといえるでしょう。

マンション売却はタイミングを読む力が必要ですが、高く売れる時期に合わせて早くから準備をして、マンションが印象よく見える状態かつ適正価格で売り出すことが重要です。

そのためにも、経験豊富で市況を読む力のある不動産会社や担当者にサポートをお願いすると良いでしょう。

マンション売却の最適なタイミングはいつですか?

築10年以内がおすすめです。設備の良さと価格のバランスが良く、新築で購入したなら税制や特例などを最大限享受できる時期だからです。

それでも売却時期や売却価格を判断するのは難しくないですか?

知識と経験が豊富な不動産会社と担当者のサポートがあれば、売主は最終決定だけで済むため安心です。

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柴田敏雄

柴田敏雄(しばたとしお)

執筆者

保有資格:宅地建物取引主任士、管理業務主任者

経歴:司法書士事務所に2年、大手不動産管理会社に5年、不動産賃貸・売買の仲介営業会社に7年間従事し不動産全般の幅広い経験を積む。また外資系金融機関に2年間従事し金融資産形成や相続税の節税アドバイスを提供。不動産や金融の現場で培った経験を元に不動産系の記事を執筆している。

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