マンションの机上査定とは?内容やメリット、活用上の注意点を解説

マンションの売却を考えているなら、その入り口は机上査定です。

机上査定はウェブサイトで間取り、住所、築年数などの基本情報を入力するだけで、マンションがいくらで売れるのかを簡単に調べられます。

実際の物件状況は反映されていないものの、大まかなマンションの相場がわかるのです。

机上査定を上手に活用することは、マンション売却の成功につながります。

本記事では、マンション売却の出発点となる机上査定の仕組みや活用方法、注意点について詳しく解説します。

マンションの査定はなぜ必要なのですか?

マンションを売却するために、まず、いくらで売れるのかを知る必要があるからです。

マンションの査定方法にはどんなものがありますか?

マンションの査定方法には2種類あり、築年数や立地などの基本データをもとに算出する机上査定と、マンションの劣化具合や使用状況などを実際に目で見て確認する訪問査定があります。

マンションの机上査定とは

机上査定はマンションの売却をすすめるために、最初に行うプロセスです。

机上査定は書類だけで行う

机上査定は対象となる物件のデータから大まかな売却価格を算出する方法です。

ネットには多くの机上査定を行うサイトがあり、物件情報と個人情報を入力すると最短で即日、3日以内には査定結果が送られてきます。

机上査定は別名簡易査定ともいわれ、査定のために書類の提出は必要ありません。

不動産会社と直接やりとりをする必要がないので、気軽に査定を依頼できます。

また、机上査定には一度のデータ入力で複数の不動産会社の査定が受けられる一括査定があります。

1社の査定額だけを見るよりもいくつかの会社の査定額を比較した方が、自分のマンションがいくらぐらいで売れるのかを判断しやすいです。

机上査定を依頼する意味

机上査定は物件のデータだけでマンションを査定するので、正確性に乏しく実施する必要がないといわれることがあります。

しかし、決してそのようなことはありません。

机上査定はマンション売却において重要な工程の一つです。

マンションの机上査定が必要な理由は主に3つあります。

  • 一括査定により複数の見地からマンションの査定額がわかる
  • 査定書の内容からからマンション売却を依頼する不動産会社を検討できる
  • 査定額以外にもマンション売却についての情報を得られる

机上査定による一括査定では、複数の不動産会社から査定額の提示をうけられます。

実は、これから売り出すマンションには正しい値段がついているわけではないので、いくらで売れるのか正確な価格は誰にもわかりません。

そこで、机上査定を依頼された不動産会社は、マンションの間取りや立地などの基本データをもとに、周辺にある類似物件の成約価格や景気、不動産の需要などのさまざまな条件を総合的に判断して査定を行います。

一括査定による査定額は各社でばらつきがありますが、複数の査定額を比較することで自分のマンションのおおよその市場価格を把握できます。

また、マンション売却を任せる不動産会社を決定するまでの流れは、机上査定を受けた会社から訪問査定を依頼する会社を選び、その中から媒介契約を結びます。

机上査定で提示された査定書の内容は、売却を依頼する不動産会社を選定する判断材料です。

さらに、机上査定はマンションのおおよその価格がわかるだけでなく、周辺にある類似物件の成約価格などの情報も得られるので積極的に活用するべきです。

机上査定以外の査定方法

マンションの査定方法は机上査定以外に訪問査定と不動産鑑定があります。

訪問査定

訪問査定は不動産会社の担当者がマンションを訪れ、実際に目視でマンションの劣化状況や部屋の使用状況を確認して査定します。

訪問査定ではマンションの売主に設備の不具合や近隣のトラブルなどもヒアリングするので、机上査定よりも精度の高い査定額が算出されます。

なお、不動産会社の訪問査定は、媒介契約を結ぶ機会を得るために行っているサービスなので無料です。

不動産鑑定

また、マンションの価格を査定する方法として、不動産鑑定という方法があります。

不動産鑑定は国家資格をもつ不動産鑑定士が行うもので、鑑定額には法的な効力があり裁判などの公的な場面で不動産の価値を証明します。

住み替えなどが目的のマンション売却には必要ありませんが、遺産相続でもめてしまい裁判に発展してしまったときは、不動産鑑定をしなくてはいけません。

不動産鑑定は有料で、マンションの場合だと40〜50万円が相場でかなり高額です。

遺産相続でマンション価格が相続人の間で合意に至らず、不動産鑑定を依頼する一歩手前だったというあるケースでは、不動産会社による査定額の根拠を相続人全員に丁寧に説明したところ、マンションの査定額について相続人の合意が得られ、高額な不動産鑑定をしなくてもよくなったという話がありました。

このエピソードが示す通り、遺産相続の場合でもマンションの査定は、不動産会社の無料査定でこと足りる場合が多いです。

【机上査定・訪問査定・不動産鑑定の違い】

査定方法メリットデメリット
机上査定
(簡易査定)
依頼が簡単で査定結果がすぐわかる・物件の不具合や周辺環境が反映されない
・査定の精度が落ちる
訪問査定査定の精度が高い査定結果が出るのに数日かかる
不動産鑑定鑑定額には法的な効力がある費用が高額
(マンションの場合40〜50万円が相場)

マンションの机上査定のチェック内容

マンションの机上査定は、物件の基本情報をもとに、周辺の類似物件の成約情報や景気動向などを加味して算出します。

物件情報

机上査定は以下の物件情報をもとに査定額を算出します。

  • 登記簿謄本
  • 公図
  • 土地の測量図あるいは建物の図面

さらにマンションの場合は、以下の内容も査定に加えています。

  • 分譲時のパンフレット
  • 管理規約
  • 使用細則
  • 維持費
  • 管理費
  • 修繕積立金に関する書類

物件以外の情報

机上査定では物件情報以外にも査定に取り入れる情報があります。

  • 過去、実際に売れた成約価格
  • 現在、販売中の物件
  • 路線価や固定資産税評価額などの公的な価格
  • 景気の動向や市場の動き

マンションの机上査定で必要な準備

机上査定でマンションのデータを入力する際に、以下の書類を準備しておくとスムーズに運びます。

【机上査定に必要な書類】

登記事項証明書
登記簿謄本
法務局で入手可能・インターネットでも取得可能
公図法務局で入手可能・インターネットでも取得可能
マンションの管理費や
修繕積立金・維持費などが
わかる資料
支払額が記載されている書類
ない場合はマンションの管理組合に問い合わせると入手可能

さらに、次の資料を用意しておくと査定の精度が上がります。

【査定の精度を上げるために準備しておきたい資料】

購入時の売買契約書手元にない場合は不動産会社に確認
耐震診断報告書
アスベスト使用調査報告書
これらの報告書があれば査定額がアップする可能性あり
ローン残高証明書および
ローン返済予定表
年末時点での住宅ローン残高を証明する書類
ない場合は金融機関に再発行を依頼
修繕・リフォームなどの契約書マンションの専有部分の修繕やリフォームを
行ったことがある場合は用意しておきたい書類
大規模修繕工事計画マンションの共用部分を修繕するための長期的な工事計画
管理組合規約マンションの利用規約などが記載された書類

机上査定は本当にやる意味があるのですか?

机上査定をやる意味は大いにあります。机上査定はマンション売却を成功させるために重要な工程です。
机上査定で算出された金額でマンションの大まかな売却価格がつかめます。また、売却を依頼する不動産会社を見極める機会でもあります。

マンションには固定資産税評価額や相続税評価額などの公的価格がありますが、何のためにあるのですか?

公的価格は納税額を決定するために各省庁から発表されています。公的価格は実際に市場で売買されている価格よりも2〜3割低く設定されているので、売却価格と一致していません。

机上査定のメリット

ウェブサイトで簡単に行える机上査定にはさまざまなメリットがあります。

査定結果が出るのが早い

机上査定はマンションの物件データを入力すると、早い場合はその日のうちに査定結果がわかります。

基本的な情報のみで行われる査定ですが、一括査定により素早く各社の査定額が比較できるので、短時間でおおよそのマンション価格を把握できます。

訪問査定では結果が出るまでに3日から1週間程度かかることを考えると、机上査定はスピーディにマンションの査定額がわかる方法といえます。

手間なく依頼できる

机上査定はウェブサイトで簡単に行えるので手間なく依頼できます。

訪問査定の場合は、不動産会社と訪問日程のすり合わせを行わなければいけませんが、机上査定ではその必要はありません。

また、訪問査定を受けるには多くの書類を用意しなければいけませんが、机上査定では以下の3つの資料があれば査定可能です。

  • 登記事項証明書または登記簿謄本
  • 公図
  • 建物の図面

複数社に依頼しやすい

机上査定には一括査定というサービスがあるため、複数の不動産会社に気軽に査定を依頼できるのも大きなメリットです。

少なくとも3社以上の不動産会社に机上査定を依頼するのがおすすめです。

しかし、あまりたくさんの会社に依頼しすぎると査定結果の精査がしづらいため、5〜6社程度に抑えるとよいでしょう。

机上査定のデメリット

机上査定は手軽にできる反面、実際の物件を見て査定していないので正確な査定額を出せないのがデメリットです。

査定結果の精度が低い

机上査定では査定のもとになる資料が少なく、現場を見ていないのでどうしても精度が下がってしまいます。

情報を追加すればある程度査定の正確性を高められますが、それでも訪問査定との差を埋めることはできません。

あくまで机上査定は、マンションのおおよその価格を把握する予備的な方法です。

十分な情報が得られない場合も

机上査定はウェブ上で査定結果がわかるので、直接不動産会社の担当者と接触しません。

なので、こちらが知りたいと思うマンション売却に関する知識や疑問への回答を得られない場合があります。

また、机上査定だけでは不動産会社の雰囲気や担当者の人となりがほとんどわからないので、媒介契約を結ぶ相手を選びにくいです。

マンション売却を依頼する不動産会社を検討する場合は、訪問査定で実際に会った担当者の中から決めるのが一般的です。

一括査定の場合のデメリット

一括査定では、気軽に複数の不動産会社から机上査定を受けることができますが、それゆえにデメリットもあります。

それは、査定結果が複数に及んでしまうので、どの査定額を信じたらよいのかわからなくなってしまうことがしばしば起こるからです。

たとえば、一括査定で複数の査定結果を入手したものの、査定額を裏付ける根拠があいまいで、どの会社が提示した金額を信じたらよいのかわからなくなってしまうことがあります。

一括査定には査定結果の裏付けが乏しいものが含まれているケースがあるのです。

査定結果が多すぎると迷いが生じて、結果的に正しい選択を妨げてしまいます。

さらに、机上査定を受けた会社の中から訪問査定や媒介契約を依頼する会社を選ぶときも、選択肢が多すぎると判断をむずかしくしてしまう恐れがあります。

また、一括査定を依頼した不動産会社からしつこい営業を受け、対応に困ってしまうこともあるので注意してください。

売却完了までの期間が長くなる

マンション売却は売り出しから実際の買い手が決まるまで、平均3〜6カ月かかります。

マンションを売ろうと思い立ったら、すぐアクションを起こさないと時間ばかりが過ぎてしまい、売りどきを逃してしまうかもしれません。

マンションの売却はローンの返済や住み替えのタイミングなどの悩みをかかえながら、転勤や転職、相続や離婚などのさまざまな状況の中で行われます。

そんなとき、それぞれの事情に応じて対応してくれる不動産会社のサポートがあると心強いです。

マンションの売却を成功させるには、不動産会社のアドバイスを受けながら検討を重ねる期間が必要なのです。

査定はその第一歩なので、早めのご相談をおすすめします。

机上査定でいくつかの不動産会社に依頼したいのですが、大丈夫ですか?

机上査定は複数の不動産会社に依頼しても大丈夫です。むしろ3〜6社の不動産会社の査定を受けてください。不動産会社によってさまざまな査定額の提示を受けるので、複数の査定結果から1番信頼のできる査定額を選ぶとよいでしょう。しかし、多すぎる査定依頼はかえって混乱を招くのでおすすめしません。

机上査定は市場価格と大きな差はありますか?

机上査定であっても市場価格との大きな差はほとんどありません。机上査定は過去の取引事例や現在売り出されている物件の価格、景気動向や不動産市況から査定額を導き出すので、市場価格に近い査定額が算出されます。

マンションの机上査定を活用するための注意点

マンション売却は机上査定をいかに活用するかで、訪問査定や売却を任せる不動産会社の選定など、その後の流れを左右します。

机上査定を上手に利用するにはいくつかの注意点があります。

事前に相場を確認しておく

査定依頼の前にマンションの相場がいくらぐらいなのか確認しておくと、提示される査定額に信ぴょう性があるかどうかを判断しやすいです。

特に、相続でマンションを遺産分けする場合は、事前にマンションの価値について相続人の間で共有しておくと、スムーズな相続と売却につながります。

マンションの相場を自分で確認するには以下の3つの方法があります。

公的な評価額でマンションの価格を調べる手順は以下の通りです。

  • 固定資産税通知書にあるマンションの建物部分の価格を確認する
  • 国税庁が発表する路線価とマンション敷地の持分割合から土地の価格を計算する
  • 建物部分と土地部分の価格の合計がマンションの公的な評価額(相続税評価額)

相続税評価額は実際の市場価格より2割ほど低く設定されていますが、マンションの価格を知る一つの目安です。

また、実際にそのエリアで成約した類似の物件の価格は、全国の不動産の取引価格情報を提供しているレインズインフォメーションマーケットで調べられます。

さらに、現在市場で売りに出されている物件の価格を調べるなら、suumoなどの住宅情報サイトが利用できます。

事前に不動産会社を知っておく

不動産会社はそれぞれ独自の強みを持っているので、机上査定の前にどの会社が何を得意としているのか調べておきましょう。

不動産会社を調べるポイントは3つです。

  • そのエリアに精通しているか
  • 得意な分野は何か
  • マンションの売却の実績は豊富か

以上のポイントに注目しながら不動産会社のホームページをみて、不動産会社の特徴についてつかんでおきます。

また、suumoなどの不動産ポータルサイトに物件が魅力的に掲載されているかを確認することで、不動産会社の売却に対する姿勢を伺えます。

要望と事情を伝える

不動産会社には「なぜ売却するのか」の理由や、「早く売りたい」「高く売りたい」などの売却に対する希望を査定前に伝えておきます。

不動産会社に「住み替え」「相続」「離婚」「経済的困窮」などのマンションの売却理由を話しておくと、こちらの事情を考慮した販売戦略を立案してくれます。

第三者である不動産会社に家庭の事情を話すのはできれば避けたいと考える人もいると思いますが、マンションの売却を成功させるために、いいにくい内容もきちんと伝えておくことが賢明です。

こちらからの質問

不動産会社の査定を受ける際は、マンション売却についてわからないことやどのような販売戦略があるのかについて質問しましょう。

不動産会社の査定を受けるタイミングは、マンション売却のプロに疑問点をいろいろ聞けるチャンスです。

マンション売却にかかる経費や売却益で発生する税金、内覧会での対応の仕方などさまざまなことを尋ねることができます。

不動産会社の査定を受ける前に疑問点などをまとめておきましょう。

査定額の根拠を確認する

査定結果が出たら、その金額の根拠について確認してください。

不動産会社の中には、実際の見込みよりも高い査定額を提示して媒介契約を結ぼうとするところがあります。

いくら魅力的な査定額でも、必ずその金額で売却できるとは限りません。

そこで、査定額の根拠を聞いてその答えが納得がいくかどうか確かめる必要があります。

特に、相場との価格差がある場合はその根拠をしっかり聞いてみましょう。

マンションの媒介契約を結ぶなら、査定価格の根拠に妥当性がある不動産会社を選ぶことをおすすめします。

マンションの机上査定に関するまとめ

机上査定はマンションの基本データで、簡単にいくらで売れるのかわかる方法です。

机上査定であっても事前準備を入念に行い、不動産会社と適切なコミュニケーションを取れば、マンション売却に有効なさまざまな情報を入手できます。

最初のアクションである机上査定を周到に行えば、理想の条件でマンションが売却できる可能性が広がります。

マンション売却を思い立ったら素早く机上査定を行い、売り時をしっかりつかんでください。

自分でマンションの相場を調べるときの注意点はなんですか?

さまざまな媒体から入手可能な指標を使ってマンション価格を比較することです。特に、公的な評価額やレインズマーケットインフォメーションの成約価格、suumoに掲載されている現在売られている類似物件の価格は押さえましょう。

机上査定を依頼する会社はどのように選ぶとよいですか?

不動産会社のホームページを見たり、不動産のポータルサイトにその会社が掲載している内容を確認したりして選ぶとよいでしょう。マンションの売却実績が豊富で、そのエリアに精通している不動産会社がおすすめです。

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滋野 陽造

執筆者

保有資格:宅地建物取引士 賃貸不動産経営管理士

経歴:早稲田大卒。マスコミ広報宣伝業務・大手メーカー等のWebディレクターを経て、不動産関連業に従事。法令に則しながら、時流や現状も踏まえた解説をします

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