自宅のマンションを売却するときの税金は? 計算方法や控除、特例などを紹介!

転勤やライフスタイルの変化などを機に、自宅マンションの売却を決めた方もいるでしょう。

自宅マンションを売却するときにはさまざまな税金が発生します。

税金を把握しておかないと、想定以上の納税によって、生活に支障をきたす恐れがあります。

要件を満たせば控除や特例を受けられる場合もあり、見落とさないように注意が必要です。

今回は、自宅マンションを売却するときの税金の種類や計算方法、控除、特例などを解説します。

自宅マンションを売ろうとしていますが、どのような税金が生じるのでしょうか?

譲渡所得税や印紙税、登録免許税、消費税などが発生します。譲渡所得税は計算方法を把握しておく必要があります。特例控除を受けることで大幅に税額を減らすことも可能です。要件を満たす場合は、確定申告のときに必要書類を提出しましょう。

自宅マンションを売却するときの税金の種類

自宅マンションの売却では、さまざまな種類の税金が発生します。

納税の義務を適切に果たすために、納税の金額や方法、タイミングなどを把握しておきましょう。

納税金額納税方法納税タイミング
譲渡所得税所得税:譲渡所得の15%あるいは20%
住民税:譲渡所得の5%あるいは10%
復興特別所得税:所得税の2.1%
確定申告所得税:売却した翌年の確定申告時
住民税:売却した翌年の6月
復興特別所得税:売却した翌年の確定申告時
印紙税売却価格が1,000万円の場合は10,000円売買契約書に収入印紙を貼りつける売買契約締結時
登録免許税2,000円~司法書士に依頼抵当権抹消登記の依頼時
消費税売却価格が1,000万円の場合は36,000円仲介業者に支払う売買契約締結時

引き続き、自宅マンションを売却するときに発生する譲渡所得税・印紙税・登録免許税・消費税の詳細を解説します。

譲渡所得税

譲渡所得税とは、建物や土地などの資産を譲渡することで生じた譲渡所得にかかる税金です。

具体的には、譲渡所得に応じて実際に支払う所得税と住民税、復興特別所得税などが算出されます。

譲渡による利益が大きいほど納税額が高くなる仕組みです。

納税金額は、所得税が譲渡所得の15%あるいは20%、住民税が譲渡所得の5%あるいは10%、復興特別所得税が所得税の2.1%です。

納税するタイミングは、所得税が売却した翌年の確定申告時であり、住民税が売却した翌年の6月です。

印紙税

印紙税は、マンションの媒介契約書に貼る収入印紙にかかる税金です。

マンションを売却した金額によって税額が異なります。

納税金額は、下記の通りです。

記載された売却金額納税金額
1万円未満非課税
10万円以下200円
10万円を超え50万円以下400円
100万円を超え500万円以下2,000円
500万円を超え1千万円以下10,000円
1千万円を超え5千万円以下20,000円
5千万円を超え1億円以下60,000円
1億円を超え5億円以下100,000円
5億円を超え10億円以下200,000円
10億円を超え50億円以下400,000円
50億円を超える600,000円
参考:No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで(国税庁)

売買契約書に収入印紙を貼りつけして納税します。納税するタイミングは、売買契約締結時です。

登録免許税

自宅マンションにかかる住宅ローンの抵当権を外すためには、抵当権抹消登記を行う必要があり、登録免許税が発生します。

納税金額は不動産一つにつき1,000円です。

マンションの場合は、建物と土地に登録免許税がかかるので、合計で2,000円支払う必要があります。

登記上で土地が数個に分かれていると、さらに金額が増える場合があります。

ローンを組んだ金融機関から返却してもらった抵当権設定契約書で確認しましょう。

なお、抵当権抹消登記では専門知識が必要になることから、司法書士に手続きを依頼するのが一般的です。

司法書士報酬の目安は20,000円ほどになっています。

参考:料金(司法書士法人コスモ)

消費税

マンションの売却を仲介業者に依頼するときには仲介手数料が発生し、消費税を支払う必要があります。

仲介手数料の上限額は売却価格によって決まります。

参考として売却価格ごとの仲介手数料の上限額と消費税を早見表にまとめてみます。

売却価格仲介手数料(税込)消費税
100万円55,000円5,000円
500万円231,000円21,000円
1,000万円396,000円36,000円
3,000万円1,056,000円96,000円
1億円3,366,000円306,000円

自宅マンションを売却するときの税金の計算方法

自宅マンションを売却するときの税金の中で、譲渡所得税を把握するには計算が必要です。

税額のベースとなる譲渡所得の計算式と、最終的な所得税・住民税・復興特別所得税の計算式に分けて詳細を解説します。

譲渡所得の計算式

譲渡所得の計算式は下記の通りです。

譲渡所得=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額

譲渡価額マンションの売却代金
取得費マンションの購入代金や改良費、設備費など
譲渡費用マンションを売るときの仲介手数料や測量費、契約書の印紙代など
特別控除額※後述

譲渡所得税の計算式

https://www.home4u.jp/sell/juku/question/sell-220-20311

譲渡所得税は、マンションの所有期間によって計算式が異なります。

【所有期間が5年超の場合(長期譲渡所得)】

譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年を超えるマンションを売却したときの税金は下記の通りです。

所得税譲渡所得×20%
住民税譲渡所得×10%
復興特別所得税所得税×2.1%

【所有期間が5年以下の場合(短期譲渡所得)】

譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年以下のマンションを売却したときの税金は下記の通りです。

所得税譲渡所得×39.63%
住民税譲渡所得×10%
復興特別所得税所得税×2.1%

参考:No.3208 長期譲渡所得の税額の計算(国税庁)
参考:No.3211 短期譲渡所得の税額の計算(国税庁)

自宅マンションを売却するときに受けられる税金の控除や特例

自宅マンションを売却するときには税金の控除や特例を利用できます。

税金を大幅に下げることも可能なので、制度の概要や要件を見落としなく確認しておきましょう。

https://suumo.jp/baikyaku/guide/entry/mansionbaikyaku_zeikin

3,000万円特別控除

まずは3,000万円特別控除の概要と要件からご紹介します。

概要

自宅マンションを売却した場合、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円までの金額を控除できます。

譲渡所得を大幅に減らせるので、税率をかけて算出した税額も大幅に減らすことが可能です。

ただし、3,000万円特別控除を利用すると、買い替え先で住宅ローン控除を使えなくなる点に注意する必要があります。

主な要件

  • 自分が住んでいたマンションであること
  • 売却した年の1月1日時点で居住していること
  • 住宅ローン控除を利用しないこと
  • 売主と買主が親子や夫婦など特別な関係ではないこと
  • 売却した年の前年あるいは前々年に3,000万円特別控除を利用していないこと

参考:No.3302 マイホームを売ったときの特例(国税庁)

買換え特例

次に買替え特例の概要と要件についてご紹介します。

概要

買換え特例とは、元の自宅マンションの売却価格よりも高い価格のマイホームに買換えしたときに、譲渡所得税を次回の売却時まで繰り延べできる制度です。

次にマンションを売却したときに譲渡益が加算されて税額が計算されます。

譲渡益が非課税になるわけではない点には注意してください。

主な要件

  • 自分が住んでいるマンションであること
  • 元の自宅マンションの売却価格よりも高い価格のマイホームに買換えすること
  • 以前住んでいたマンションの場合は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る必要がある。
  • 売却代金は1億円以下であること
  • 海外のマイホームは認められない
  • 売却した年とその前年あるいは前々年に3,000万円の特別控除の特例を利用していないこと

参考:No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例(国税庁)

譲渡損失の損益通算・繰越控除

譲渡損失の損益通算・繰越控除の概要と要件についてご紹介します。

概要

譲渡損失の損益通算・繰越控除とは、自宅マンションを売却して損をしたときに売却損が発生したときに受けられる控除です。売却損をその年の給与所得や事業所得といったほかの所得から控除できます。

控除しきれなかった売却損に関しては、譲渡の年の翌年以降3年以内に繰り越して控除することも可能です。

主な要件

  • 自分が住んでいるマンションであること
  • 元の自宅マンションを売却して売却損が発生していること
  • 以前住んでいたマンションの場合は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る必要がある。
  • 譲渡年の1月1日における所有期間が5年を超える日本国内のマンションを譲渡する場合に限る
  • 売却した年の前年および前々年に3,000万円の特別控除の特例を利用していないこと

参考:No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(国税庁)

住宅ローン控除

概要

住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用してマイホームを購入、増改築等をした場合に、所得税などから一定の金額を控除できる制度です。 控除期間は、原則として入居した年から10年間(一定の要件を満たす場合は13年間)です。 控除額は、年末の住宅ローン残高の1%が上限です。

主な要件

  • 住宅ローンの借入期間が10年以上であること
  • 床面積が50㎡以上であること
  • 住宅ローン残高が4,000万円以下であること
  • 2022年12月31日までに居住を開始した場合、2024年以降は控除率が0.7%に引き下げられる
  • 2023年1月1日以降に居住を開始した場合、控除期間が13年間になる(一定の要件を満たす場合)

参考:No.1211 住宅借入金等特別控除(国税庁)

自宅マンションを売却するときに3,000万円の控除などが受けられるのは大きいですね。

以前住んでいたマンションの場合は、住まなくなった日から一定期間を経過してしまうと利用できなくなってしまいます。なるべく早く売却の判断をしましょう。

自宅マンション売却に関する税金の確定申告

自宅マンションを売却したあと、自動的に税金が納税されるわけではありません。

税務署に対して確定申告を行い、譲渡所得を報告する必要があります。

また、控除や特例の利用によっても必要書類が異なってくるため、スムーズに手続きをするためにも事前準備が必要です。

ここでは自宅マンション売却に関する税金の確定申告について、申告期間や必要書類、罰則などについて解説します。

申告期間

譲渡所得の申告は、マンションを譲渡した日の属する年の翌年2月16日から3月15日の間に行う必要があります。

譲渡した日とは、原則として売買などの譲渡契約にもとづき、マンションを買主に引き渡した日です。

譲渡損失の損益通算および繰り越し控除の特例を適用して還付申告をする場合、2月15日以前の申告も認められます。

参考:No.3102 譲渡所得の申告期限(国税庁)

必要な書類

自宅マンションを売却したときの確定申告で必要な書類についてまとめてみます。

基本書類

自宅マンションを売却した場合、確定申告書Bと分離課税用の申告書第三表および「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)」などをあわせて作成して、ほかの所得とまとめて確定申告をする必要があります。

  • 確定申告書B
  • 分離課税用の申告書第三表
  • 「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)」

参考:No.3102 譲渡所得の申告期限(国税庁)
参考:令和5年分 譲渡所得の申告のしかた(国税庁)

3000万円特別控除を受けるときの必要書類

3000万円特別控除を受けるときは、「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]」を提出します。

マンションの売却による譲渡所得金額の計算をするために使用する書類です。国税庁のホームページでダウンロードしたり、税務署で配布してもらったりできます。

なお、マンションの売買契約日の前日においてそのマンションを売却した方の住民票に記載されていた住所と、そのマンションの所在地が異なるときがあります。

その場合、戸籍の附票の写しや削除された戸籍の附票の写しなど、マンションを売却した方がそのマンションを居住の用に使用していたことを明らかにする書類も必要です。

  • 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]
  • マンションの売買契約書
  • マンションの登記事項証明書
  • 住民票の写し
  • 売主が居住していたことを証明する書類(住民票、公共料金の領収書など)

参考:No.3302 マイホームを売ったときの特例(国税庁)
参考:譲渡所得の内訳書(国税庁)

買換え特例を受けるときの必要書類

買換え特例を受けるときは、下記の必要書類が必要です。

  • 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]
  • 売却した資産が自分が住む家屋のうち国内にある事実などを記載した書類
  • 売却した資産の登記事項証明書等で所有期間が10年を超えることを明らかにするもの
  • 買い換えた資産の登記事項証明書や売買契約書の写しで取得したことおよび買い換えた資産の面積を明らかにするもの
  • 売買契約書の写しなどで売却代金が1億円以下であることを明らかにするもの
  • 確認済証の写しあるいは検査済証の写しなど
    ※買い換えた資産資産が令和6年1月1日以後に入居する建築後使用されたことのない住宅である場合
  • 取得日以前25年以内に建築されたことを明らかにする書類あるいは耐震基準適合証明書など
    ※買い換えた資産が中古住宅である場合

参考:No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例(国税庁)

譲渡損失の損益通算・繰越控除を受けるときの書類

譲渡損失の損益通算・繰越控除を受けるときは、下記の必要書類が必要です。

損益通算の場合
  • 居住用財産の譲渡損失の金額の明細書(確定申告書付表)
  • 居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書(租税特別措置法第41条の5用)
  • 売った資産が自分が住む家屋のうち国内にある事実等を記載した書類
  • 登記事項証明書や売買契約書の写しなどで所有期間が5年超であることおよび面積を明らかにするもの
  • 戸籍の附票の写し等
    ※売却時において住民票に記載されていた住所と売却した資産の所在地が異なる場合
  • 登記事項証明書や売買契約書の写しなどで購入した年月日や家屋の床面積を明らかにするもの
  • 年末における住宅借入金等の残高証明書
  • 住まいとして使用を開始する予定年月日等を記載したもの
    ※確定申告書の提出日までに買い換えた資産に住んでいない場合
繰越控除の場合
  • 損益通算の適用を受けた年分に関して一定の書類の添付がある期限内申告書を提出したこと
  • 損益通算の適用を受けた年分の翌年分から繰越控除を適用する年分まで連続して確定申告書(損失申告用)を提出する
  • 確定申告書に年末における住宅借入金等の残高証明書を添付する

参考:No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(国税庁)

申告をしないときの罰則

自宅マンションを売却して譲渡益が発生したとき、確定申告をしないと無申告加算税や延滞税が発生します。

無申告加算税は、納付すべき税額に対して50万円までは15%、50万円を超える部分に20%の割合を乗じて算出します。

延滞税は、原則として納付期限の翌日から2か月を経過する日までであれば年7.3%、納付期限の翌日から2か月を経過した日以後であれば年14.6%、利息に相当する金額が課されます。

必要以上の税金を支払うことになれば、売却後の生活に支障をきたしてしまいかねません。確定申告の期限を守って正しい金額を納税しましょう。


参考:No.2024 確定申告を忘れたとき(国税庁)
参考:No.9205 延滞税について(国税庁)

自宅マンションを売却するときの税金に関するQ&A

自宅マンションを売却するときの税金に関する疑問にQ&A形式で回答します。

Q1.夫婦で共有している自宅を売却するときは1人だけしか特別控除を受けられない?

A1.基本的に2人とも控除を受けられます。
たとえば、5,000万円の譲渡所得を獲得したとしましょう。自宅マンションを半分ずつ共有していれば、各自の譲渡所得が2,500万円ずつとなります。各自で3,000万円の控除を適用すれば、それぞれの税額が0円になります。

Q2.自宅が居住用財産かどうかはどのように判断すればよい?

A2.住民票だけでなく総合的な居住情報から判断します。
居住用財産であるかどうかは、生活の拠点としていたかどうかを総合的な居住情報から判断します。
居住用財産と判断できるポイントの例は下記の通りです。

・日常生活が行われていた
・通勤や通学の拠点となっていた
・水道や電気、ガスなどが使われていた
・仕事や事務所として使われていなかった
・郵便物が配達されていた
・投資用ではない
・保養目的の別荘ではない
・趣味や娯楽のために使っていたわけではない

そのほか、近隣住人からの聞き込み内容と矛盾がないかどうかも判断の基準とされるようです。

控除を活用して自宅マンションを売却したときの税金を軽減!

今回は、自宅マンションを売却するときの税金について解説しました。

自宅マンションを売却するときの税金には、譲渡所得税や印紙税、登録免許税、消費税などがありました。

利益が多くなると譲渡所得税が高くなります。売却後にあわてないよう、おおよその金額を計算しておくことが大切です。

自宅マンションを売却するときは、要件を満たすことで譲渡所得から特別控除を差し引けます。夫婦でマンションを共有している場合は、控除によって税金の支払いを回避できるケースも少なくありません。

控除の制度を正確に把握しておき、自宅マンションを売却するときの税金を減らしてみてください。

自宅マンションの売却では譲渡益に応じて税額が決まるのですね。

譲渡所得税はマンションの所有期間によって税率が変わります。節税のためにもマンションの所有期間も考慮して売却を計画するようにしましょう。

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