タワーマンションの査定方法は?売却の現状や査定の流れ・注意点などを解説

マンションの売却を検討する際には、まず査定を依頼し査定額を売却金額の目安とする必要があります。

しかし、タワーマンションは他のマンションとは違い、売却と査定方法に特徴があります。

そこで、この記事ではタワーマンションの売却、査定の特徴や流れ、注意点について解説します。

マンションを売却するのに査定が必要な理由はなんでしょうか?

マンションを売却する際には売却価格を決める必要がありますが、平均的な売却価格が分からなければ見当違いの価格で公開してしまうリスクがあります。
そのような失敗をしないためにマンションの査定を依頼し、目安となる査定額を確認する必要があるからです。

タワーマンションの査定は他のマンションと違う点はありますか?

タワーマンションは他のマンションよりも高い査定額になる傾向があり、さらには投機を目的とするターゲットが多いという特徴があります。
そのため、ただ査定額を算出するのではなくターゲット層に合わせたプランとセットで査定をする必要があります。

タワーマンション売却の特徴

タワーマンションを売却する際にはターゲット層をしっかり見据えた売却プランを立案する必要があり、その上で査定額を算出する必要があります。

そのため、他のマンションより高く売れる傾向があるものの、売却の難易度は高いといえるでしょう。

そこで、この記事ではタワーマンション売却の特徴について解説します。

売却のターゲットが限られる

タワーマンションを求める顧客層(ターゲット層)は他のマンションに比べ、かなり限られています。

なぜならタワーマンションは立地や設備がよく、ハイステータスな生活をイメージできるコンセプトであることが多いからです。

そのため類似するマンションはほとんどなく、さらには管理修繕費が高くなることから購入できる人自体がそもそも少ないといえます。

このような理由から、タワーマンションは顧客のターゲットが限られます。

階数や居室の向きで価格差が大きくなる

タワーマンションを検討する顧客層は年収が高く、マンションに求める価値も高くなります。

そのため、低階層よりも眺望が良くセキュリティも高い高層階の方が人気となる傾向があり、それ以外にも部屋ごとの日当たりや間取りが価格差に繋がります。

このように、同じマンション内であってもタワーマンションは査定額に大きな差が出てしまうため、売却価格や売却プランも部屋ごとに分ける必要があるといえるでしょう。

投機や賃貸業が目的の買主が多い

「投機」とは短期的な不動産売買で利益を得る投資活動のことで、タワーマンションを購入し数年後に高値売却することで利益を得ることを最初から目的として購入します。

また、賃貸に出し収益を得ることを目的とする投資家もタワーマンションを購入することが多く、どちらも自ら住む前提ではありません。

タワーマンションは利便性に特化している特徴があるものの、ランニングコストが高く災害時にはライフラインが停止するリスクを考えるとファミリー層には向いていないマンションだといえます。

そのため海外の投資家が購入することが多いため、通常の居住用マンションとしての売却プランはほとんど立案されないでしょう。

タワーマンションの売り時は?

タワーマンションの売り時はいくつかタイミングがあり、狙って物件公開し売却完了させることで早期売却を成功させたり手残り額を大きく増やすことができます。

そこで、この章ではタワーマンションの売り時について解説します。

税制に合わせた売り時

タワーマンションを売却する際には、まず所有期間がどのくらいになるのかを知っておくことが重要です。

マンションを売却した際に利益が出た場合、譲渡所得税を支払う必要がありますが、税率は所有している期間が5年以内、5年超、10年超のタイミングで大きく変わることになります。

仮に5,000万円で購入したマンションを6,000万円で売却した場合、次のようなシミュレーションになります。

所有期間譲渡所得税課税額税率譲渡所得税
5年以内1,000万円39.63%約397万円
5年超20.315%約204万円
10年超14.21%約143万円

上図のように、5年以内で売却するのと10年を超えて売却するのであれば約254万円の差があります。

そのため、売却をするタイミングは非常に重要だといえるでしょう。

これ以外の税制優遇に「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」がありますが、この特例を利用すると上図の課税額1,000万円を3,000万円まで控除することができ、免税となります。

ただし、賃貸収益を得ていないことや居住している実態があること、空き家になってから3年以内に売却する必要があるなど、様々な要件をクリアする必要があります。

つまり、賃貸に出した後にこの特例を知った場合は利用できないため、あらかじめ不動産会社からアドバイスを受けることをおすすめします。

参考:No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁

マーケットの状況に合わせた売り時

同じマンションに物件が公開されていない時期は競合がいないため、売却のチャンスといえます。

また、マンション全体の修復工事である大規模修繕工事の直後は資産価値が1棟で高くなり、売却価格を高く設定できる時期ともいえます。

ただし、大規模修繕工事が実施されることで管理修繕費が増額されることが決定されている場合は先に売却してしまう方がよいでしょう。

それ以外にも新学期や入社に合わせて人が移動することを考慮し、12月~3月に合わせて売却をスタートするのも重要なポイントです。

賃貸中なら空室時

タワーマンションを賃貸に出している場合、居住者がいる状態でオーナーチェンジ物件として売却するよりも空室状態で居住用物件として売却する方が高値で売却できます。

なぜならオーナーチェンジ物件の価格設定は購入金額と年間回収利益の割合である「利回り」がベースとなるのに対し、居住用物件はマンションの価値そのものを売却価格にできるからです。

つまり、居住用物件の方が価格設定がしやすく、相場とのバランスがとりやすいということになります。

そのため、賃貸中のマンションであれば空室になるまで保有し、前述した所有期間と合わせてタイミングを見計らって売却するのがポイントです。

タワーマンションを売却するおすすめのタイミングはありますか?

タワーマンションを売却するタイミングは「所有期間」「マーケット状況」「空室かどうか」という3つのポイントがあります。
所有期間が5年と10年を超えたタイミングで譲渡所得税の税率が下がり、同じマンションに競合がいないタイミングで12~3月の時期に売却するのがベストです。

また、賃貸中であれば空室になるまで保有し、空室になったタイミングで売却しましょう。

タワーマンション売却査定の特徴

タワーマンションの売却査定はトレンドを読む力や取引事例を1件1件把握するノウハウが必要となるため、AI査定のように機械的な査定では難しいとされています。

そのため、タワーマンションの査定を取り扱うことができる不動産会社自体が少ないのが現状です。

そこで、タワーマンションの売却査定を実施する際の特徴を把握し、なるべく自分でも査定できるようにしておくことが重要です。

相場が混乱することがある

タワーマンションの売却査定を難しくしている要因として、投資用と居住用の取引事例が混在しているという点があります。

投資用物件は居住用物件よりも安くなる傾向にありますが、新築のタワーマンションなどは投資用物件の方が高くなるケースもあり、一概に判断することができません。

また、タワーマンションの総会で「また貸し禁止」や「民泊禁止」というルールが追加され、賃貸だしができなくなることもあります。

その場合は同じタワーマンションで一気に物件が公開され、相場が一時的に下がるでしょう。

このように、様々な要因を多角的に判断することで、タワーマンションの売却査定は行われています。

豪華な付帯設備やサービスが査定対象に

タワーマンションは家屋内の設備もハイスペックですが、それ以上にマンション全体の共有部分に価値があります。

タワーマンションに設置される代表的な設備は、次のようになります。

  •  ゲストルーム
  •  パーティールーム
  •  キッズルーム
  •  フィットネスクラブ
  •  スパ・温泉・プール

このような設備はマンション住民しか使うことができず、パーティールームやゲストルームは予約制のためプライバシー保護という観点からも使いやすい施設だといえます。

また、設備以外にも次のようなサービスがあります。

  •  コンシェルジュサービス
  •  清掃・ゴミ回収サービス
  •  ハウスキーピングサービス
  •  施設内24時間コンビニ・ミニスーパー

タワーマンションに住む世帯は共働きで年収が高いというケースも多く、いわゆる「パワーカップル」は荷物の受け取りやゴミ出しといった日常生活が難しいこともあります。

そのため、コンシェルジュに荷物の受け取りや配達の手配などを依頼し、24時間ゴミ回収できるサービスはタワーマンションでも人気のサービスです。

ただし、これらの設備やサービスは管理修繕費によって維持管理されているため、管理修繕費が高くなる要因ともいえます。

つまり、設備やサービスを利用しない人にとってはただし管理修繕費が高いタワーマンションとなるため、プラスポイントとしてアピールする販売プランが必要となるでしょう。

階数と居室の向きで査定額に開きが出る

タワーマンションに限らず、マンションの階数と居室の向きは査定額に大きく影響します。

低層階よりも高層階の方が査定額は高くなり、角部屋はそれ以外の部屋よりも高くなります。

また、リビングの最も長い部分が南側に面している部屋は日当たりがよく、人気の間取りです。

このように、階数と居室の向きはタワーマンションの売却査定においても重要といえます。

タワーマンション売却査定の流れ

この章ではタワーマンションを売却する際の流れについて、解説します。

タワーマンションの売却が成功するかどうかは、依頼する不動産会社にかかっているといえます。

そのため、査定を通じて依頼する不動産会社を選ぶ必要があります。

依頼する会社を決める

タワーマンションは売却することが難しく、経験が少ない担当者やノウハウがない不動産会社に依頼した場合は販売が長期化する可能性が高くなります。

そのため、まずは査定を依頼する前にある程度不動産会社を選定しましょう。

選定の方法はHPのやポータルサイトの物件公開数をチェックするのがおすすめです。

タワーマンションの売却実績数をHPで謳っている会社は専門性が高いといえ、ポータルサイトで同じマンションを取り扱っている不動産会社は価格の根拠がしっかりしている可能性が高いです。

そのため、不動産会社のHPとポータルサイトで不動産会社を選定し、次のステップである机上査定を依頼しましょう。

机上査定を依頼する

机上査定は担当者が直接マンションに行かず、オーナーから提示された情報をベースとして査定額を算出する方法です。

査定額の提示スピードが速く、個人情報も最低限の提示ですむため簡易査定として有効な方法ですが、一般的に机上査定は精度が低いというデメリットがあります。

ただし、タワーマンションは設備やサービス、マンションブランド、立地が査定額の基準となるため、現地で部屋の中を確認しなくとも高い精度の査定額を提示することができます。

そのため、机上査定だけでもある程度売却価格の目安となるでしょう。

訪問査定を依頼する

机上査定は査定額の提示だけでなく、会社のPRを受けることができます。

そのため、机上査定の内容を見た上で実際にマンションを確認してもらう訪問査定を依頼する会社を選ぶことができます。

本来、査定額の精度を上げるために訪問査定を受けるのが目的ですが、タワーマンションの場合は机上査定でも精度の高い査定額確認することが可能です。

そこで、訪問査定ではどのようにして売却プランの提示を受け、1番納得のいく売却プランを提示した不動産会社に売却の依頼をしましょう。

タワーマンションの査定にはどのような特徴がありますか?他のマンションと違う点はあるのでしょうか?

タワーマンションの査定は通常のマンションと同じように、階層や間取りなどで査定額を算出する部分もありますが、それ以上に設備やサービスの内容を査定額に反映させ、高級感のあるマンションとして売却できる査定額にします。
その点は他のマンションと大きく違う点といえるでしょう。
ただし、そのような特徴があるためタワーマンションは他のマンションよりも売却が難しく、売却査定を取り扱ってない不動産会社も多いです。

タワーマンションの査定は全ての不動産会社ができるわけではないんですね。タワーマンションのセールスポイントはどのような内容が多いですか?

設備やサービス全般、立地、マンションブランドがセールスポイントになります。
そのため、セールスポイントが買手にとって大きなメリットとなる販売プランが重要となるでしょう。

タワーマンション売却査定の注意点

タワーマンションの売却は難易度が高いため、不動産会社の選定が重要です。

そのため、オーナーとして売却査定を依頼する前にしっかり準備しておく必要があります。

そこで、この章ではタワーマンションの売却査定をする際の注意点を解説します。

事前に相場を確認しておく

タワーマンションの相場を調べるのは難しいですが、ポータルサイトや取引事例を事前確認するだけでも査定額が妥当かどうか把握する材料になります。

相場を調べる方法として、SUUMOやat-homeといったポータルサイトで同じマンションの物件公開をチェックするのと、REINS Market Informationを利用し取引事例を確認するのがおすすめです。

階層や専有面積が変わることでどのくらい価格が変わるのかを把握することで、適切な売却価格を設定することができるでしょう。

参考:REINS Market Information

こちらからの質問

査定の面談は不動産会社が主体となって進めるため、気になる点を漏れなく聞けるようあらかじめ準備しておくことが重要です。

そこで、次に挙げる内容は最低限質問することをおすすめします。

  • 税金の概算
  • 諸費用の概算
  • 手残り額のイメージ
  • 用意しておくべき書類
  • 内覧時の注意点
  • タワーマンションのトレンド
  • 売却完了までの目標スケジュール
  • 確定申告の方法

査定額の根拠を確認する

不動産会社から提示される査定額には、必ず根拠があります。

そのため、根拠の説明が納得のいく内容かどうかを確認することで不動産会社を選定する大きなポイントになります。

また、その際には前述したように自分で相場を把握しておくことで、より深いレベルで説明の内容を理解することができるでしょう。

タワーマンション売却査定に関するまとめ

タワーマンションは売却価格が高くなる一方、ターゲット層が限定されるという特徴があります。

そのため、売却を依頼する不動産会社選びは何よりも重要だといえるでしょう。

タワーマンションのターゲットはどのような顧客層になりますか?

タワーマンションの代表的な顧客層は、年収が高い共働きの夫婦か投資家です。そのため、他のマンション売却とは違いファミリー層の問い合わせは少なくなるでしょう。

タワーマンションの査定で注意する点はありますか?

事前に相場を把握し、不動産会社の査定額をより深く理解できるようにしておくことが重要です。
また、疑問点や不安点を全て解消できるように質問リストも作っておきましょう。
査定額の根拠説明や質問に対する受け答えを判断材料として、信頼できる不動産会社に依頼するのがポイントです。

家プロなら、最短1週間でマンションを売却し、現金化できます。

また、宅建資格等の資格保有者である専任の「買取アドバイザー」が、税金・法律・売却価格の面で最適な売却を提案するので、納得のうえでスピーディーにマンションを売却可能です。

さらに、18年間の不動産買取で培った独自の販売網があるので、他社よりも平均して15%高値での売却を実現しています。

お急ぎのご相談は、下記のお電話番号へお電話をおかけください。

まずは査定を実施したいという方は、下記から無料の簡易査定をご利用ください。

滋野 陽造

執筆者

保有資格:宅地建物取引士 賃貸不動産経営管理士

経歴:早稲田大卒。マスコミ広報宣伝業務・大手メーカー等のWebディレクターを経て、不動産関連業に従事。法令に則しながら、時流や現状も踏まえた解説をします

無料査定
電話で相談