新築マンションの売却査定はどのようなもの?方法や注意点を解説

査定はマンションを売却する際の目安を知るために利用しますが、築年数が経過したマンションと新築マンションの査定では違う点があります。

そこで、この記事では新築マンションを売却査定する際の特徴や注意点について解説します。

査定とはどのようなものでしょうか?マンションを売却するためには必ず査定は必要でしょうか。

査定とはマンションがどのくらいの金額で売れるのかを知ることが目的で、オーナーは提示された査定額を見て売却価格を決めます。
マンションの売却はオーナーが売却価格を決めますが、どのくらいの金額に設定すれば良いのかは分からないことが多いです。
そのため、価格を決めるための判断材料として査定を受けるのが一般的です。

マンションの市場価値を知るために査定を依頼する、ということですね。でも新築マンションは購入した時期が最近なので、購入金額と査定額はほとんど同じになるので査定は要らないんじゃないですか?

それが、新築マンションの場合は思ったよりも安くなることがあり、これは新築マンションを売却する際の特徴ともいえます。
この記事で詳しく解説するので、是非参考にしてください。

新築マンション売却の特徴

購入したばかりの新築マンションをすぐに売却する際には、いくつか特徴があります。

これらの特徴は売却プランや売却価格にも大きく影響があるため、重要なポイントです。

新築マンションの定義

「新築」とは未入居で築1年以内の状態で使われます。1年以上経過している所有者がいないマンションは「未入居住宅」、入居歴があると「築浅(中古)」と呼び名が変わります。

ただし、一般的には新築から3年以内で売却に出すマンションは「新築マンションの売却」と言われることが多いです。

新築マンションは高く売れやすい

一般的にマンションは築年数によって売却価格が変わり、築年数が新しいほど売却価格は高くなります。

また、新築マンションの場合は販売時に購入できなかった人が再度購入するチャンスを得ることになるため、公開と同時に買手が見つかるケースも多いです。

このように、新築マンションは高く売れやすい物件だといえます。

ただし、入居歴がある場合は査定額と売却価格に大きく影響が出てしまうため、注意が必要です。

新築マンションは売却益が出にくい

新築マンションは高値で早期売却できる可能性が高いものの、売却益が出にくいという特徴もあります。

その理由として、売却時の住宅ローン残高が売却価格よりも高くなるという点があります。

マンションを購入する際には住宅ローンを組むことが多いですが、フルローンではなく自己資金と住宅ローンを組み合わせるオーナーも多いです。

また、マンションを購入する際には諸費用がかかり、マンション価格の5~10%程度が諸費用になります。

つまり、5,000万円のマンションを購入するためには250~500万円の諸費用がかかり、合計で5,250~5,500万円が必要となります。

そのため、新築マンションを売却する際には5,250万円以上で売却する必要があるでしょう。

しかし、自己資金ではなく住宅ローンの比率が高い場合は売却価格よりも住宅ローン残高が高くなる「オーバーローン」状態になり、売却するためには自己資金を出す必要があります。

このような理由から、新築マンションの売却益は出にくいのが現状です。

売却益が抑えられる原因はオーバーローンだけではありません。売却益にかかる譲渡所得税が高額になるのも大きな要因だといえるでしょう。

譲渡所得税はバブル期にマンションの転売を抑制するためにスタートした税法で、所有期間が5年以内の場合は39.63%が税率となり、課税額に掛け合わせることで算出されます。

つまり、5,000万円で購入したマンションを5,500万円で売却した場合、約198万円の譲渡所得税を支払うことになります。

ただし、居住用財産で10年以上住宅ローンを組んでいる場合は課税額から3,000万円を控除することができるため、利用できる場合は売却益を増やすためにも積極的に利用しましょう。

参考:居住用財産の譲渡に係る特例について

新築マンション売却のよくある理由

この章では新築マンションを売却する際の理由について解説します。

購入してすぐに売却するオーナーには、どのような理由があるのでしょうか。

大きく分けて、資金計画が不十分であったというケースと環境の変化があります。

住宅ローンの支払いが困難になった

新築マンションを購入する際には月々の住宅ローン返済額を確認し、問題ないことを検討した上で進めます。

しかし、実際に返済がスタートした後に収入が減ってしまい、支払いが困難になることもあります。

住宅ローンの支払いを滞納してしまうと最終的には物件を競売に出すことになり、さらには滞納履歴が残ることで新しい借入ができなくなるリスクがあります。

そのため、住宅ローンの返済スタート後に収入が減り返済が困難になった場合には売却を検討するオーナーも多いでしょう。

管理費等の支払いが困難になった

購入時の資金計画は住宅ローンがメインとなりますが、マンションの場合は他にもランニングコストがかかります。

たとえばマンションの維持管理にかかる管理修繕費や駐車場代、固定資産税などです。

これらの費用を考慮せずに新築マンションを購入し、月々の生活が思ったよりも苦しくなったというオーナーも多いです。

また、管理修繕費や駐車場についてはマンション住民の過半数が可決することで増額することができるため、全く変化しない費用ではありません。

そのため、購入当初では支払いができていた管理修繕費、駐車場代が支払いできなくなるというケースもあります。

生活環境の変化

前述した新築マンションを売却する理由は「資金計画が不十分」というケースですが、転勤や離婚といった生活環境の変化が理由で売却するケースもあります。

たとえば新築マンション購入後に転勤することになり単身赴任ではなく家族で引っ越すことを決めた場合、購入した新築マンションが空き家になってしまいます。

また、賃貸にだすという選択肢もありますがその場合は銀行との契約に違反することになり、住宅ローン残債を一括返済する必要があるでしょう。

さらには空き家になってから3年以内に売却しなければ前述した居住用財産の特例を受けることができず、高額の譲渡所得税を支払うことになります。

そのため、転勤が原因で新築マンションを売却するオーナーは多いです。

それ以外にも離婚による財産分与や、急に親と同居することになり住み替えるというケースがあります。

不動産売却サイトのすまいステップが公開している調査報告によると、不動産売却の理由で最も多いのが「住み替え」で「離婚」や「転勤」も上位にランクインしています。

このように生活環境の変化によって売却を決めるケースもあります。

〈不動産売却の理由〉

順位売却の理由割合
1位住み替え35.6%
2位資産整理23.0%
3位相続13.9%
4位転勤、転職9.6%
5位離婚7.3%
6位金銭的な理由5.9%
7位その他4.8%

参考:不動産売却経験者1500人に聞いた!「売却理由」や「売却完了期間」などアンケート結果を公開!

新築マンションは売りやすいんでしょうか?価格も高く売れるでしょうか?

新築マンションは築年数が新しいため高値で売却しやすく、さらには販売時に購入できなかった人にも購入のチャンスがあるため需要があり、売りやすいマンションだといえます。

そうなんですね。そうなると、売却益も高くなりますか?

残念ながら新築マンションの場合は高値で売却できても売却益が低くなる傾向にあります。
なぜならマンションを購入する際には諸費用を支払う必要があり、たとえ購入時と同額で売却できたとしても住宅ローン残債の方が高くなってしまい、売却するために自己資金を捻出することになるからです。
また、全く住んでいない状態で売却した場合には居住用財産の特例を受けることができないため、最終的な手残り額は更に低くなるでしょう。

新築マンション売却査定の特徴

新築マンションは通常のマンションとは売却査定において違いがあります。

そのため、この章で解説する新築マンションの特徴を査定依頼前に確認しておくことをおすすめします。

同じマンションの売却事例が少ない

マンションの査定は同じマンションの取引事例をベースに算出しますが、新築マンションの場合は事例がないケースがほとんどです。

そのため、近隣の類い取引事例を参照することになりますが、新築マンションはそれぞれコンセプトが設定されており、純粋な資産価値の比較ができないことが多いです。

たとえば都心部の駅近にあるマンションであれば託児所やサロン、ジムといった施設に力を入れており、郊外のタワーマンションは家屋内での生活空間が快適になる工夫がされています。

つまり、新築マンションの査定額は他のマンションに比べて精度が低くなることを知っておきましょう。

物件の使用状態による査定要素が少ない

新築マンションの査定額は、居住しているかどうかで大きく変わります。

つまり、居住していない物件であれば設備は全て未使用のため査定額は高くなり、居住歴があれば全て「中古」という扱いになるため査定額は下がることになります。

ただし、どちらのケースにおいても耐震性能や耐用年数という点では大きな違いがないため、家屋を使用しているかどうかが査定額の分かれ目になるでしょう。

設備の機能や状況による査定要素が少ない

新築マンションは建物と設備に損傷や劣化がないため、机上査定とそれほど変わらない査定結果となります。

そのため、本来であれば机上査定後に訪問査定を依頼し、査定の精度を高める必要がありますが新築マンションにおいては机上査定とそれほど変わらない査定額となることが多いです。

新築マンション売却査定の流れ

新築マンションを売却するための査定には、いくつかステップがあります。

むやみに査定依頼をすると大きな失敗に繋がることもあるため、この章で解説する流れをしっかり押さえましょう。

  1. 依頼する会社を決める
  2. 机上査定を依頼する
  3. 訪問査定を依頼する

依頼する会社を決める

査定を依頼する不動産会社は、HPなどで得意分野や販売実績を確認し数社ピックアップした上で依頼しましょう。

事前にAI査定を利用し、査定額が高い会社を選ぶ方法もありますが、査定額が高いからといって高く売却できるわけではありません。

もし他の会社よりも極端に高い査定額の提示を受けた場合は、営業手法である可能性が高いといえます。

そのため、査定額の高さで不動産会社を選ぶのはおすすめできません。

そこで、依頼会社は物件の公開数や販売実績、依頼した場合の特典内容を注力し選びましょう。

机上査定を依頼する

依頼会社をピックアップした後は、まず机上査定から始めましょう。

最初から訪問査定を依頼すると全ての会社と面談しなければならないため、非常に工数がかかります。

そのため、まずは査定額の提示と提案内容を確認し、信頼できると感じた会社にコンタクトを取ることが重要です。

机上査定せずに全ての会社と面談した場合、しつこい営業をする会社に情報公開してしまう可能性もあります。

このようなトラブルを避けるためにも、机上査定によって不動産会社を選定することは重要です。

訪問査定を依頼する

机上査定によって選定した会社に訪問査定を依頼し、具体的な売却価格と売却プランの提示を受けることになりますが、このタイミングでオーナーとしてやっておくべきことがあります。

まずは購入時の書類を全て用意し、不動産会社の担当者がすぐに確認できるようにしましょう。

新築マンションの資料は膨大で、売却に必要な書類がどれなのか分からないオーナーは多いです。

そのため、すぐに出せるよう不動産会社に書類を仕分けしてもらうことが重要です。

また、設備にキズがつかないようなるべく触れないようにすることがポイントですが、新築マンションの売却に慣れている不動産会社であれば白手袋やスリッパなどを持参します。

このように、家屋内をどのように内見するのかを確認するだけでも不動産会社を選定するポイントになるでしょう。

室内や設備の傷みはマンションの査定に影響あるでしょうか。

築年数が古いマンションであれば問題ありませんが、新築マンションの場合は査定額に大きく影響するため、注意しましょう。
なぜなら新築マンションは「誰も住んでいない」という点に大きなアドバンテージがあり、中古マンションはリフォームする前提のためキズがあっても問題ないからです。
そのため、キズや傷みがある新築マンションは需要が下がることを知っておきましょう。

新築マンションは売却事例が少ないと聞きましたが、どのようにして査定をするのでしょうか。

新築マンションは同じマンションの売却事例がほとんどないため、同じビルダーや近くの新築マンションを参考にして算出します。
ただし、近くにマンションがなかったりコンセプトが違うマンションだと査定額に大きな差が出てしまうこともあります。

新築マンション売却査定の注意点

マンションの査定は不動産会社のペースで進むことが多いため、知らない間に納得のいかない査定内容になっていることもあります。

そのような失敗をしないためにも、この章で解説する新築マンション売却査定の注意点を押さえましょう。

  • 事前に相場を理解しておく
  • こちらから質問する
  • 査定額の根拠を確認する

事前に相場を理解しておく

新築マンションは公開されている物件数が非常に少ないですが、それでもどのくらいで売却できそうかを事前に調べておくことは重要です。

マンションの取引事例を調べる際にはREINS Market Informationを利用し、特定のエリアで築年数が5年以内の取引事例を確認するのがおすすめです。

専有面積や駅までの近さでも取引事例が異なるため、後述する査定額の根拠確認でも有効活用できる情報だといえるでしょう。

参考:REINS Market Information

こちらから質問する

査定を受ける際には、こちらから質問する内容をあらかじめ決めておくことがポイントです。

何も話さなければ不動産会社のペースで打合せが進んでしまい、疑問点が全て解消されないまま終了してしまうこともあるでしょう。

そのような面談にしないためにも、「税金」や「手残り額」といった気になる点は必ず質問することが重要です。

査定額の根拠を確認する

宅地建物取引業では、売却価格や査定額の提案をする際には根拠の説明をすることが義務づけられています。

つまり、「経験」や「弊社独自のノウハウ」といった理由で提案する会社は、信頼できない会社だといえます。

そのため、査定額の提示を受けた場合には必ず根拠を確認し、納得のいく内容なのかを知る必要があります。

特に極端に高い査定額の提示は営業手法である可能性が高いため、注意しましょう。

新築マンション売却査定に関するまとめ

新築マンションを査定する場合は取引事例が少ないことから査定額を参考にすることが難しく、売却価格で悩んでしまうオーナーも多いです。

しかし、そもそも新築マンションは人気が高く売りやすい物件のため、早い段階で公開し買手の反応を確認しながら売却することがおすすめです。

そのためにも、不動産会社の選定方法は重要だといえるでしょう。

新築マンションは人気があるんですね。売却する上でのポイントはありますか?

新築マンションは内覧時にキズがつかないよう、水回りに布を被せたり白手袋を内覧時に着用してもらうなど細かい対応が必要です。
また、書類や取扱説明書はすぐに出せるよう準備しておきましょう。
もちろん、依頼する不動産会社の選定も重要ですね。

新築マンションの査定は難しいと聞きましたが、査定額をチェックするポイントはありますか?

新築マンションの査定額は取引事例をベースにすることが難しいため、周辺環境の状況や将来の変化を汲み取った上で査定額を算出することが多いです。
たとえば将来再開発計画やオリンピックなどの世界的イベントの誘致が決まっているという情報は、マンションの査定額を大きく上げる要因になります。
そのため、まずは査定額の根拠を確認し、納得いく内容かどうかが重要といえます。

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滋野 陽造

執筆者

保有資格:宅地建物取引士 賃貸不動産経営管理士

経歴:早稲田大卒。マスコミ広報宣伝業務・大手メーカー等のWebディレクターを経て、不動産関連業に従事。法令に則しながら、時流や現状も踏まえた解説をします

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