マンションの査定に費用はかかる?売却時の諸費用や査定の際の注意点などを解説

マンションの売却価格を決める際には、基準となる査定額が必要です。

そのため、マンション売却を検討するオーナーは不動産会社に査定を依頼することになりますが、費用はかかるのでしょうか。

また、売却にかかる諸費用や税金についても知っておくべきです。

そこで、この記事ではマンションを売却する際の査定と、かかる費用や注意点について解説します。

マンションの査定は必ず必要なのでしょうか。

マンションを売却する際には売却価格を決める必要がありますが、どれだけ下調べをしてもプロの意見は参考にすべきです。
そのため、仮に自分で売却価格を決めていたとしても答え合わせの意味も含めて査定依頼は必要でしょう。

そうなんですね。でも、査定はお金がかかりますよね?

査定はほとんどのケースで無料ですが、鑑定は有料です。
2つの方法にどのような違いがあるのかをこの記事で詳しく解説しますので、参考にしてください。

マンションの査定は費用がかかる?

マンションの査定に費用がかかるのであれば必要だとしても依頼するのをためらってしまいますが、原則査定は無料です。

そこで、この章ではマンションの査定が無料となる理由について、解説します。

マンション売却の際に査定が必要な理由

マンションの売却価格はオーナーが決めるため、査定をせずとも自由に設定することが可能です。

しかし、価格を決めるためには住宅ローンの残債有無や諸費用、税金などを考慮する必要があり、抜けがあると思わぬ損をすることになります。

また、売却を依頼する不動産会社を選ぶポイントも重要です。

そこで、不動産会社に査定依頼をすることで売却にかかる費用や用意する書類などを把握することができ、さらには査定額の提示内容で不動産会社を選定する基準をもつことができます。

つまり、査定をすることはただマンションの売却価格を決める基準を作るのではなく、売却の流れやイメージ通りの金額を手元に残すための準備を知ることにもなるでしょう。

このような理由から、マンションを売却する際には査定が必要となります。

不動産会社がおこなう査定は無料

不動産会社に依頼しマンションの査定を行う場合、費用はかかりません。

宅地建物取引業では仲介手数料を成功報酬として受け取ることが定められており、調査費や査定書費用などは原則認められていないからです。

つまり、不動産会社にとって「査定」とは売却の依頼を受けるための必要な業務ということになります。

また、後述する「不動産鑑定」は有料になりますが、不動産鑑定士以外がこの行為を行うことは禁じられています。

そのため、一般的なマンション売却に関する査定であれば無料となるため、安心して依頼しましょう。

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マンション売却の査定は複数社に依頼する?方法や注意点について解説

マンションの査定と鑑定

マンションの価値を算出する方法として、査定以外にも「鑑定」があります。

2つの方法には大きな違いがあるため、依頼する前に知っておきましょう。

不動産査定と鑑定の違い

不動産査定と鑑定の違いは、次のようになります。

不動産査定不動産鑑定
費用の違い無料有料
目的売却価格の目安把握不動産の価値把握
依頼先不動産会社の担当者不動産鑑定士
回答スピード翌日~1週間10日前後

マンションの価格はオーナーが自由に決めることができ、さらには買い手と合意ができればどのような価格であっても契約となります。

そのため、「査定」は相場を把握するという目的で使われます。

一方、不動産鑑定の目的は「価値」を確定することにあり、国家資格である不動産鑑定士の独占業務です。

鑑定が必要となるケースは様々ですが、一般的なマンション売却であれば不要です。

このように、不動産において査定と鑑定はその役割に大きな違いがあるといえるでしょう。

不動産鑑定士は不動産の鑑定を行う国家資格者

不動産鑑定士は不動産の価値を適切に図ることを目的とした国家資格となっており、不動産鑑定を唯一行うことができる資格です。

また、一般的な不動産会社の担当者が保有している宅地建物取引士の合格率が15%であるのに対し、不動産鑑定士は5%となっています。

このように、不動産鑑定士が行う鑑定の結果は非常に信頼性が高く、不動産の価値を示す上で重要な指標として取り扱われます。

個人のマンション売却で鑑定が必要なケース

不動産鑑定士が行う鑑定は通常のマンション売却時に利用するケースはほとんどありませんが、全く縁がないわけではありません。

次に挙げるケースでは不動産鑑定を依頼することが多いため、あらかじめ知っておきましょう。

  • 相続や離婚の際に財産分与をする時
  • 親族間で不動産を売買もしくは交換をする時
  • 代償分割の価格を決める、または遺留分減殺請求をしたい時
  • 相続税の申告で土地評価額を下げたい時
  • 生前贈与、負担付贈与を行う時
  • このほか公共事業の収用などの土地評価や、鑑定基準のための路線価などの決定。

マンションの査定がなぜ無料なのかを、あらためて教えてもらえませんか?

わかりました。査定が無料となる理由は、「報酬を伴う業務」ではないからです。
宅地建物取引業で定める報酬とは、契約成立による成功報酬となります。
つまり、査定はマンションを売却し契約するために必要なステップという位置づけとなるため報酬が発生せず、その結果無料となります。

不動産会社からしたら査定は利益にならない業務ということになるんですね。
そうすると、不動産会社はなぜ査定と鑑定を行うのでしょうか。

マンションの査定は売却を検討し始めたオーナーが依頼することが多いです。そのため、早い段階でオーナーとコンタクトを持つことで売却の依頼を受ける可能性を高めることができます。
つまり、査定は不動産会社にとってオーナーとコンタクトできる重要な接点ということになるため、無料でも積極的に査定を提案します。

一方、鑑定はそれ自体に費用が発生するため、報酬のために依頼を受けます。

オーナーも鑑定士が提示する鑑定結果が必要なケースもあるため、それぞれの用途をしっかり把握しておくことが重要ですね。

不動産鑑定に要する費用

不動産鑑定は有料ですが、どのくらいの費用がかかるのかを事前に知っておく必要があります。

この章では鑑定の費用相場と、鑑定ではない「意見書、調査報告書」について解説します。

不動産鑑定の費用相場

マンション一室の不動産鑑定を依頼した場合、相場は30万円前後です。

不動産によって鑑定費用の相場は若干異なるため、次の表を参考にしてください。

不動産の種類相場
マンション30万円
中古戸建て20万円
中古戸建て+土地25万円
土地のみ20万円
大規模な土地30万円

参考:不動産鑑定の費用の相場はいくら?無料の不動産査定との違いも紹介!

不動産鑑定を依頼する場合は上記の費用を用意する必要がありますが、5万円前後で依頼できる「簡易報告書」もあります。

公的な信頼性は低いですが、査定よりも信頼性が高くコストを抑えたいオーナーは利用を検討しましょう。

意見書と調査報告書

意見と調査報告書は不動産鑑定評価基準に基づいていない報告書のことで、「鑑定」という言葉を利用しないのであれば自由に書類の名前を決めることができます。

不動産鑑定評価基準に基づいていないため作業を簡略化することができ、相場もマンション1室で5~10万円と安く抑えることができます。

ただし、書類自体が持つ信頼度は鑑定書よりも劣るため、どのような目的で利用するのかしっかり検討する必要があるでしょう。

マンション売却時の査定以外の費用

マンションの査定は原則無料ですが、売却するためには諸費用や税金がかかります。

この章では売却にかかる手数料や税金、それ以外にかかる諸費用について解説しますので、参考にしてください。

仲介手数料

仲介手数料は不動産会社に売却を依頼し、買い手と契約となった際に成功報酬として発生する費用です。

仲介手数料は売却代金によって異なるため、次の表を参考にあらかじめ把握しましょう。

売却代金仲介手数料の計算式
200万円以下売却代金×5%+消費税
200万円を超え、400万円以下売却代金×4%+2万円消費税
400万円を超える売却代金×3%+6万円+消費税

ただし、400万円以下の物件を売却する場合は18万円を上限とした調査費を請求することが認められているため、事前に見積書を確認しておく必要があるでしょう。

印紙税や登記費用

売却する際にかかる税金は「引渡し前」と「引き渡し後」があり、引渡し前には印紙税と登録免許税がかかります。

印紙税は契約書に貼付する印紙代金のことで、消印することで納税したと見なされます。

また、売却代金によって大きく費用が変わるため、次の表を参考に確認しておきましょう。

売買価格印紙代
10万円を超え50万円以下200円
50万円を超え100万円以下500円
100万円を超え500万円以下1,000円
500万円を超え1,000万円以下5,000円
1,000万円を超え5,000万円以下10,000円
5,000万円を超え1億円以下30,000円
1億円を超え5億円以下60,000円
5億円を超え10億円以下160,000円
10億円を超え50億円以下320,000円
50億円を超える480,000円

引用:不動産売買契約書の印紙税の軽減措置|国税庁

また、登録免許税は所有権移転や抵当権抹消にかかる税金となっており、所有権移転は1~2万円、抵当権抹消は抵当権の本数×1,000円が相場です。

なお、登記を司法書士に依頼する場合は3~5万円の報酬が必要となることを知っておきましょう。

売却の税金

マンションの引渡しが完了した後は、売却によって利益がでたかどうかを確定申告によって申告する必要があります。

その際に利益がでた場合は譲渡所得税を支払うことになり、取得費や各書類の有無、所有年数によって異なります。

そのため、売却をスタートする前にはどのくらいの譲渡所得税がかかるのかを調べておきましょう。

ただし、居住しているマンションを売却する場合は税制優遇を受けられる可能性が高いため、不動産会社に調べてもらうことをおすすめします。

上記以外にかかる諸費用として、次の項目があります。

  • ローン一括返済手数料
  • 引っ越し代
  • ハウスクリーニング
  • ホームインスペクション
  • ホームステージング

ローン一括返済手数料はネットバンキングだと5,000円前後、書類だと2~3万円が相場です。

ハウスクリーニングやホームインスペクションは必須ではありませんが、築年数が古いマンションを売却する際に水回りをキレイに清掃し、ホームインスペクションの結果を買い手に提示することで高く売却できたという実例もあります。

また、ショールームのように家屋内をリフォームするホームステージングも、高値かつ早期売却するコツといえるでしょう。

そのため、必須の費用ではなくとも十分に検討する必要があるといえます。

マンションを売却するためには色々な費用がかかるんですね。特に費用が大きい項目はどれでしょうか。

売却価格に連動して費用が変わる仲介手数料と印紙代はしっかり押さえておくべきでしょう。あとは、譲渡所得税は全ての項目で最も高くなる傾向にあるため、注意が必要です。

仲介手数料は必ず支払う必要がありますか?

不動産会社に「仲介」を依頼し、その結果買い手と契約締結できた際には支払う必要があります。
ただし、不動産会社が仲介せずに買取をしたり、自分で買い手を探して個人間売買をした場合はかかりません。
そのため、必ずしもかかるわけではないです。

仲介手数料の支払いは仲介のみということですね。それ以外の諸費用が譲渡所得税も高額になるということですが、この税金も必ず支払う必要がありますか?

譲渡所得税については免税となるケースが2点あります。1つ目は取得費よりも安く売却した場合、利益がでていませんから免税です。
2つ目は居住用財産の特例を使って課税額を控除し、その結果課税額が0円以下になるケースです。
どちらも複雑な計算が必要となるため、不動産会社か会計士、税理士に相談しましょう。

マンション査定の前に準備しておくこと

マンションの査定を依頼する前にしっかりと準備をしておくことで、スムーズにマンションの売却を進めることが可能です。

そこで、この章で解説する事前準備のポイントをしっかり押さえましょう。

事前に相場を確認しておく

SUUMOのマンション相場やレインズマーケットインフォメーションで成約相場を調べるなど、不動産会社に相談しなくともある程度の相場を把握することは可能です。

そのため、まずは自分で相場を確認しその上で査定依頼をすることで、より効果的に査定を利用することができるでしょう。

参考:【SUUMO】全国のマンション売却価格相場を調べる
参考:REINS Market Information

売却に関する不明点をまとめておく

不動産の売却に慣れているオーナーは滅多におらず、不安や不明点があって当然です。

また、売却の全体像が分からないまま不動産会社主体で話が進むと、納得感がないまま完了してしまうこともあるでしょう。

そのため、分からない点や聞きたいことをリストアップしておくことがおすすめです。

特に、税金や諸費用については手残り額に直接影響がでるため、イメージ通りの売却にするためには必ず確認する必要があります。

査定額の根拠を確認する

不動産会社を選ぶ際には査定額だけでなく、査定の説明内容にも注視しましょう。

極端に相場よりも高い査定額を提示し、販売依頼を勝ち取ろうとする不動産会社もいます。

そのような会社に依頼した場合は後から価格を下げる提案をされることになり、納得のいかない進め方になるでしょう。

そのような失敗をしないためにも、査定額の根拠と説明の分かりやすさはチェックすることが重要です。

マンション査定の費用に関するまとめ

マンションの査定は無料となる上に売却価格のベースとなるため、なるべく早めに依頼することがおすすめです。

特に税金や諸費用の確認は売却のタイミングや準備物にも影響するため、重要です。

マンションの査定は無料なので気軽に依頼できそうですね。有料の鑑定はどのような時に利用するのでしょうか?

鑑定はマンションの価値を確定したい時に利用します。たとえば離婚の財産分与や生前贈与を行う際には正しい評価額が必要となりますが、その場合は鑑定を利用します。
そのため、通常の売却では無料査定を選びましょう。

わかりました。査定の注意点はありますか?

査定は事前に依頼する不動会社を調べ、2~3社に絞って依頼するようにしましょう。
なぜなら依頼会社が多いと対応する手間がかかり、査定額の判断も悩ましくなるからです。
また、急いで媒介契約を迫る不動産会社は選ばず、納得感のある説明をしてくれる不動産会社を選ぶのも重要です。

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滋野 陽造

執筆者

保有資格:宅地建物取引士 賃貸不動産経営管理士

経歴:早稲田大卒。マスコミ広報宣伝業務・大手メーカー等のWebディレクターを経て、不動産関連業に従事。法令に則しながら、時流や現状も踏まえた解説をします

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