マンション査定の自動シミュレーションとは?利用方法や注意点、売却の進め方などを解説

マンションの売却を進める際には、まずどのくらいの価格で売れるのかを把握する必要があります。

ただし、この時点で把握する価格は目安であれば良いため、手軽ですぐに結果が分かるAI査定の利用がおすすめです。

AIを利用した自動査定は多くのユーザーが利用しており、精度においても飛躍的に向上しています。

そこで、この記事ではマンションの自動シミュレーション査定を利用する方法や注意点、メリット・デメリットについて解説します。

そもそもAIってどういうものなのでしょうか?不動産業界でも実際に活用されているのですか?

AIとは人工知能を搭載したシステムのことで、単純作業やビックデータの解析、並列作業の検証といった業務に取り入れられています。

たとえば数十種類のデータから特定のデータを抽出し、優先順位付けするといった作業はヒューマンエラーが起きやすく、ダブルチェックをする必要があります。

そのため、1つの作業に2人以上の人件費がかかってしまいますが、AIであればミスなく瞬時に作業を完了させることが可能です。

このようなAI技術は不動産業界で既に導入されており、特に「査定」においては有効的な活用ができているといえるでしょう。

具体的な効果については、この記事で詳細を解説します。

マンション査定もAIによる自動化の時代へ

AI技術は不動産業界の様々な面で導入されており、マンション査定においてもAI査定という形で有効活用されています。

AI査定はユーザーと不動産会社の双方にメリットがあり、今後も利用する機会は増えるといえるでしょう。

その一方で、完全に自動化できないという特徴もあります。

そこで、この記事ではマンション査定をAIによって自動化する背景としくみについて解説します。

マンション査定の自動化とは?

AI技術が不動産会社で活用されるようになったのは2009年頃からで、アメリカの不動産テックベンチャー企業が査定に取り入れるようになりました。

査定を受けた場合には類似の取引事例を担当者が調査し、売却想定価格を「査定額」として提示するのが一般的です。

そのため、取引事例を探すスピードや選択する事例にはどうしても担当者ごとで差がでてしまい、査定件数が多くなるにつれミスも多くなります。

そこで、成約事例をデータベース化し依頼情報との照合をAIに作業させることで作業スピードの向上と品質を平準化することに成功しました。

これがAI査定のスタートだとされています。

AIによる査定ロジックのしくみ

AIシステムは査定の結果や取引事例を学習し、査定額に反映させることができます。

つまり、査定の重要なポイントとなる取引事例のアップデートにおいても自動で行うことができるため、人が行う査定よりも遥かに早い提案が可能となります。

AI査定はマンション情報が入力されるとまず査定対象のマンションと類似マンションの取引事例を調べ、取引価格を把握します。

その上で取引価格の平均値を算出し、査定額として回答します。

このような査定を数秒で回答することができるため、AI査定はどのくらいの価格で売れるのかを目安として知りたい場合にはおすすめといえるでしょう。

査定が完全には自動化できない理由

AIによる自動化はマンション査定で多くの利用実績がありますが、査定自体を完全に自動化することはできていません。

その理由として、AI査定ではマンションやオーナーが持つ個別の事情を査定額に反映することができないという点があるからです。

たとえば同じマンションで専有面積と階層が同じであれば、AI査定は取引事例に近い査定結果を回答するでしょう。

しかし、取引事例が5年前のデータだった場合、5年間の経年劣化は反映されません。

また、リフォームによる資産価値の上昇においても反映することができず、取引事例がリフォームしている物件だった場合はいびつな査定額になることもあります。

つまり、マンション査定はAI査定を実施した後に不動産会社の担当者から精度の高い査定を受けることになるため、二度手間になってしまいます。

このように、現状のAI技術ではデータの背景を読み取ることができないため、完全な自動化は難しいといえるでしょう。

マンション査定の自動シミュレーションの利用方法

この章ではマンション査定の自動シミュレーションを利用するステップについて解説します。

利用する会社によって多少の違いはありますが、大きく分けて次の2ステップとなります。

マンションの自動査定サイトに登録

マンションの自動査定を利用する際にはメールアドレスを登録し、査定額をメールに送信する仕組みが多いです。

ただし、サイトによっては何も入力せずに査定ができる場合や、氏名や住所など個人情報の詳細入力が必須となる場合もあるため、どのような情報入力が必要なのかは事前にチェックしましょう。

売却対象マンションの情報を登録する

マンションの情報入力をするページに進むと、市区町村の入力かマンション名を入力する項目があるため、どちらかを入力しましょう。

マンション専用の査定サイトであればマンション名を入力すると自動的に市区町村が反映されることもあります。

それ以外の入力項目には、専有面積や間取り、階層、角部屋かどうかがあります。

これらを入力すると査定額が算出され、メール送信もしくはその場で査定額が表示されます。

マンション査定の自動シミュレーションのメリット

マンション査定の自動シミュレーションには、メリットもデメリットもあります。

そこで、この章で解説するメリットと後述するデメリットを確認し、自動シミュレーションで失敗しないように準備しましょう。

  • 結果が簡単にわかる
  • 匿名の査定も可能
  • 営業の電話がない

結果が簡単にわかる

自動シミュレーションを利用するメリットは、やはり結果が簡単に分かるという点でしょう。

不動産会社に直接査定を依頼する場合は担当者の手が空いているかどうかや、能力によって回答スピードに大きな差があります。

その点、自動シミュレーションであれば数秒でメールもしくはその場で査定額を確認することができます。

匿名の査定も可能

通常の査定を受ける場合、ある程度個人情報を不動産会社に公開しなければなりません。

その場合に匿名で依頼をした場合、担当者からは冷やかしだと思われ査定の提示を受けることができないケースもあるでしょう。

しかし、自動シミュレーションであれば匿名であっても査定を受けることができ、査定額に影響もありません。

そのため、売却自体を検討中などオーナーの事情によって個人情報の公開を控えたい場合には、自動シミュレーションがおすすめです。

営業の電話がない

自動シミュレーションは個人情報をほとんど公開せずに利用できるため、しつこい営業を受けることがありません。

また、依頼する不動産会社も1社のみとなるため、メールアドレスの公開も最低限ですみます。

このように、営業を受けることなく査定額を提示してもらえるのが、自動シミュレーションのメリットといえるでしょう。

マンション査定の自動シミュレーションのデメリット

マンション査定の自動シミュレーションにはデメリットがあります。

この章で詳しく解説するので、自動シミュレーションの査定を受ける際の参考にしてください。

  • 査定の精度は高くない
  • 不動産会社を決める判断材料にはなりにくい
  • 売却に関する相談ができない

査定の精度は高くない

自動シミュレーションの査定は実際にマンションを確認した情報が欠けているため、査定の精度は決して高いとはいえません。

一般的なAI査定では次に挙げる項目を反映できないことを知っておきましょう。

  • 高層ビル建築や再開発計画など、周辺環境に関する情報
  • リフォームの有無
  • 住宅ローン残債の有無
  • 大規模修繕計画のタイミング
  • 管理修繕費の改定
  • 駐車場の引き継ぎルール
  • 事件発生の有無
  • 近隣住民とのトラブル有無

また、上記に関する情報の欠落とは別に自動シミュレーションは査定額が高めに算出されるよう設定されています。

なぜなら自動シミュレーションをサービス提供している不動産会社は売却の依頼を得ることが目的であり、査定額が高いと「この会社はマンションを高く売ってくれる」と思わせることができるからです。

そのため、査定額と実際の販売価格には数百万円差がでることもあります。

不動産会社を決める判断材料にはなりにくい

査定額は営業目的で高く算出されることが多いため、不動産会社の販売能力を判断する材料にはなりません。

また、不動産会社からしてもオーナーの情報が少ないため査定額以上のアドバイスをすることが難しいといえます。

そのため、自動シミュレーションを使った査定では売却を依頼する不動産会社を決めることはできないでしょう。

そのため、まずはAI査定による自動シミュレーション査定で査定額の目安を確認し、その上で実際に担当者が査定する「訪問査定」を受けることをおすすめします。

売却に関する相談ができない

マンションの売却に慣れているオーナーは少なく、売却が初めてというケースがほとんどです。

そのため、売却の進め方や用意する書類、手残り額などの疑問点を抱えるオーナーは多いです。

このような疑問点を解消するためには自動シミュレーションだけでなく、不動産会社と直接打合せする必要があります。

また、住宅ローン残債の有無やそもそもマンションを売却する理由などは売却価格に大きく影響するため、適切な売却価格を設定するためにも不動産会社にしっかりと相談しましょう。

マンション査定の自動シミュレーションにはメリットとデメリットがあるんですね。あらためて内容を教えてもらえますか?

分かりました。まず、メリットは「回答が早く匿名で依頼できる」という点が大きいでしょう。

査定をするためにはある程度情報を公開する必要がありますが、最低限に抑えることでしつこい営業を防止することもできます。

そのため、簡易的な査定額をすぐに知りたい場合にはおすすめです。

一方、自動シミュレーションは査定の精度が低く、具体的に売却を進めるためには不動産会社に訪問査定をしてもらう必要があります。

また、査定額が高いからといって不動産会社の販売能力が高いというわけではなく、依頼する会社の判断材料としても使えないのがデメリットだといえるでしょう。

自動シミュレーションの内容もサイトによって大きく変わるため、次に挙げる代表的なサイトの特徴は押さえましょう。

No.自動査定サイト特徴
1HowMa(ハウマ)・3900件を超える査定実績(2021年4月時点)
・AI技術+不動産会社のノウハウを活用した査定
・HP上で利用者の感想を確認することができる
・入力項目に住所と氏名、電話番号が必須
2センチュリー21・全国999店舗で対応可能(2022年12月時点)
・住所や氏名など個人情報の詳細入力が必須
・実際は担当者による査定となる
3マンション.navi・チャット方式のため入力作業が観覧
・マンション売却査定サイトで4冠達成
・利用者数が500万人以上(2022年時点)
4東急リバブル・住所や氏名など個人情報の詳細入力が必須
・仲介(成約)件数28750件(2021年時点)
・売却後の補修費用を最大500万円まで保証
5RENOSY(リノシー)・住所や氏名など個人情報の詳細入力が必須
・過去6ヶ月の成約実績を閲覧できる
・売却と賃貸を同時に査定できる

マンション査定の精度を高める方法

マンション査定を自動シミュレーションで受けた場合、精度が低くなることを解説しましたが、この章では精度の高い査定を受けるための方法について解説します。

  • 訪問査定を受ける
  • 不動産会社に相談
  • 平均的な物件はAIでも精度は高めに

訪問査定を受ける

AI技術はオーナーが売却を検討する背景や物件の状況を把握できないため、査定の精度を高めるためには訪問査定を受ける必要があります。

訪問査定は不動産会社の担当者が実際にマンションへ訪問し、物件の査定を行います。

また、その際にはオーナーが売却をする理由や希望手残り額の確認、具体的な売却方法についても打合せするのが一般的です。

そうすることでオーナーにとって希望に近い売却プランを立てることができます。

不動産売買は売主であるオーナーと買主との合意によって契約締結となるため、少しの行き違いや要望のすれ違いが大きなトラブルになる可能性があります。

そのため、訪問査定を受けることで査定の精度を高めると同時に売却に関する疑問点や要望を不動産会社に伝えることができます。

不動産会社に相談

訪問査定によって不動産会社に疑問点や要望を伝えられることを解説しましたが、直接不動産会社に行きコンタクトを取ることでも査定の精度を上げ具体的な売却プランを立てることが可能です。

不動産の売却にはオーナーの要望だけでなく、相場との価格バランスや必要な手残り額、税制優遇の使い方など総合的に判断すべきポイントが多くあります。

これらは全てインターネットで調べることができますが、どのタイミングで何を実行すべきかは不動産会社のアドバイスが必要となるでしょう。

そのため、不動産会社への相談はおすすめです。

平均的な物件はAIでも精度は高めに

AI査定の精度が低くなる傾向にありますが、売却を検討しているマンションが平均的な物件であれば査定額の信頼性は高くなります。

たとえばリフォームをしていないマンションで専有面積が70㎡、3LDKの間取りである場合はAI査定が抽出するデータを大きく相違しないため、査定額の精度は高いといえます。

ただし、同じマンションで多くの取引事例が公開されていることが前提となります。

そのため、抽出した取引事例が確認できる自動査定サイトを選びましょう。

査定の精度を高める上で、なぜ訪問査定がおすすめなのでしょうか?

訪問査定を受けることでAI査定では判定できない物件のポイントを査定額に反映することができ、さらにはオーナーとしての要望や事情を考慮できるからです。

訪問査定を受けることで不動産会社に直接相談できるという利点もあるんですね。オーナーの相談事項にはどのような内容がありますか?

オーナーが気にする点として、税金があります。マンションを売却する際には譲渡所得税という税金の支払い義務が発生しますが、数千万から0円までオーナーの事情と物件の使用方法によって変わります。
そのため、手残り額が大きく変わるという点からも税金に関する質問は多いです。

手残り額が数千万円変わるのであれば確かに気になる点ですね。AI査定だとその辺りの事情がくみ取れないため精度が低くなることは分かりましたが、精度が高くなる物件はありますか?

物件が個別に持つポイントがなく、平均的な物件であれば査定額は高くなるでしょう。また、査定をする物件と同じマンションで取引事例が多いという点も重要です。

マンション査定における自動シミュレーションの未来

マンション査定において既に自動シミュレーションは多くのオーナーに利用されていますが、自動シミュレーションは今後どのように発展していくのでしょうか。

この章では自動シミュレーションの未来について解説します。

AI査定の精度は今後高まる

日本は人口が減少し働き手が少なくなる一方ですが、働き方改善によって労働時間は縮小傾向にあります。

そのため、単純作業の支援や売却の初期段階にあたる査定をAI技術によって補完していくビジネス形態は急速に発展しています。

そして、この背景を受けAI査定の利用数も増え、その結果AI査定の進化によって査定の精度は高まるでしょう。

ただし、査定は現段階で「人」の介在が必須となるため、人でしかできない部分をいかにAI技術でも可能にするのかが今後の課題だといえます。

不動産会社の訪問査定がまだ不可欠な部分

たとえば不動産の価値として前面道路の広さは重要ですが、狭くても大通りでも子どもの通学路としてはリスクが高いといえます。

また、マンションが後から導入したセキュリティシステムなどはAI査定で判定することができず、査定額に考慮されないでしょう。

こういった情報を的確にAIが収集し、データベースとして運用できるのであれば査定精度は大きく向上します。

しかし、現段階ではこういった情報は十分に収集できておらず、さらにはAI側も利用できる仕組みになっていません。

このような事情から、不動産会社の訪問査定は安心安全に不動産を売却するうえで必要不可欠となっています。

不動産会社の情報は今後詳細化する

不動産取引の安全性はますます重要視され、宅地建物取引業法も毎年のように改定されています。

数年前までは公表する必要がなかったハザードマップや住宅診断の実施有無についても、現在では公表が必須です。

このように、不動産売却がおかれる環境は大きく変化しており、安全に取引するために多くの情報が収集されるようになりました。

こうした情報の詳細化はAI技術が発展する受け皿となっており、AI査定が普及するベースとなるでしょう。

AI査定は今後どのように進化していきますか?何か苦手な分野はあるのでしょうか。

AI査定は今後大きく精度が向上し、訪問査定が不要となる時代も近いといえるでしょう。
ただし、「人の気持ち」や「データにない事情」を取り入れることがまだまだ難しいため、苦手といえます。
そのため、「要望の交渉」や「ヒアリング」「顧客の意思決定を促すクロージング」といった分野ではまだまだ人が活躍するでしょう。

マンション査定の自動化に関するまとめ

マンション査定の自動化の流れは今後ますます大きくなるでしょう。

現段階では補助的な部分が多いAI査定においても、査定額の提示スピードや匿名性という点で既に対面査定よりもメリットが大きいといえます。

AI査定は今後、不動産売却をどのように変えていくのでしょうか?未来の展望について教えてください。

AI査定の精度を向上させ、完全に人の手によらない高精度の査定を実現させるのが不動産会社としても重要なポイントです。
将来、物件の査定から公開、案内に至るまで全て自動化されるでしょう。
そして、不動産会社の担当者はコンサルやヒアリング、クロージングといった「人の強み」を大きく発揮できる分野に特化することができるようになるでしょう。

AI査定はこのように、不動産売却を効率化し人との作業分別を明確にするという役割を担っています。

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滋野 陽造

執筆者

保有資格:宅地建物取引士 賃貸不動産経営管理士

経歴:早稲田大卒。マスコミ広報宣伝業務・大手メーカー等のWebディレクターを経て、不動産関連業に従事。法令に則しながら、時流や現状も踏まえた解説をします

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